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市長の部屋

早苗が揺れる風景

6月の季語で最初に浮かぶのは'田植え'です。南九州以外は5月の田植えが一般的のようですが、伊佐平野は5月下旬ごろから種まきや代田の準備が整い、今月中旬から下旬にかけていっせいに田植えが行われます。先月までの田んぼの姿が一変し、早苗の揺れる見事な風景になります。TPP交渉次第ではこの光景も見れなくなる恐れもあるかと思えば、今までのような風景を楽しむというような悠長な気持ちにはなれません。稲作は、工業製品と違い、資源()と労働力を海外に移せるような産業ではありません。そのようなことになれば、産業の空洞化というような綺麗な言葉ではなく、田園は荒れ、住む人もなく農山村がゴーストタウンになることを意味します。

 

 日本の稲作は我が国の文化の根幹をなします。稲作の起源については最近諸説があるので論じませんが、日本に稲作が定着し、狭い国土を有効に使い、改良を重ねて現在に至るまでの歴史の中で、思考や文化・生活の中心になってきたのはまぎれもない事実です。季語の入る俳句や二十四節気などはまさにそうです。農耕民族と騎馬民族に分類するとすれば、日本人は農耕民族の代表のようなもので、思考の回路が違うのも当然です。お米を経済活動の側面だけで捉えると間違った交渉になります。食糧安全保障の側面とともに文化・生活という民族そのもののアイデンティティに関わることです。

 

 6月の私の挨拶は、いきなりTPP交渉への懸念を申し上げる書き出しになりました。素晴らしい田園風景を見ながらなんとしても残さなければならない日本の稲作に対する強い気持ちです。最近読んだ本で印象に残っているのが、内田樹氏と岡田斗司夫氏の対談をまとめた『評価と贈与の経済学』(徳間書店)です。本の中ではTPP問題は触れてありませんが、「拡張型家族」「贈与経済・評価経済」「非効率的教育」「生きる力」「人柄の良さ」などがネットを介して近代資本主義に終止符を打つであろうと論じられています。少子高齢化で日本に市場が無くなるから海外から富を持ちこむ考え方が、TPPにはあるような気が私にはしてなりません。

 

 6月は定例議会も開催されるので、その合間を縫って関東や関西の同窓会やふるさと会へ参ります。県内外を問わず皆様にお願いしたいことがあります。全国百貨店協会の主催する"ご当地キャラ総選挙2013"の九州地区代表を決める選挙(投票)が今月16日まで行われています。加盟百貨店での店頭投票は5ポイント、インターネットでの投票が1ポイントです。九州以外でもネット投票はできますのでよろしくお願いします。今おこなわれている地区予選投票で九州トップで勝ち上がれば7月の全国最終総選挙への立候補となります。詳しくは伊佐市ホームページの"ご当地キャラ総選挙"をクリックしてください。

 

 伊佐平野の美しい田園風景を今月は'田植え'という季節の風物詩を切り口にして書き出しましたが、ひとつ悩ましいことが発生しています。それは伊佐市に近い湧水町恒次(つねつぐ)地区に産業廃棄物最終処分場の建設が予定されているということです。産業廃棄物最終処分場の設置は県への申請手続きが必要ですが、この中で関連自治体や関係のある団体への説明が申請者に義務付けられています。予定では20日が伊佐市行政への説明会となっていますので、マスコミにも公開しながら説明を受ける予定にしています。順次、市議会やコミュニティ協議会、土地改良区、農政連、内水面漁協へと説明がなされることになっています。環境への影響、自然環境を大切にする伊佐市のイメージにどのように影響するのか確認したいと思います。

 

 テレビのデータ放送で県内各自治体情報を南日本放送(MBC)が取り扱っていますので、ぜひ伊佐市の情報をご覧ください。今月号の市報には、データ放送を見るためのリモコンの操作方法や情報内容を詳しく紹介していますので参考にしてください。MBCのデータ放送は市の担当者が直接情報を配信できますので、情報量・話題性・緊急性ともにお役に立てると思います。これから集中豪雨の時期に入ります。局地的に降る可能性が高くなりました。24時間配信できるデータ放送を使えば、緊急性のある話題や防災情報など、住民のみなさんの身近な情報までお知らせすることができますので是非ご活用ください。電話・自治会放送・メールなどいろんな情報伝達ツールがありますが、ご家庭で一番身近で日常的にあるテレビを、特に高齢者に情報伝達ツールとしてご活用していただきたいと思います。

 

 牛のセリ市が今月10日に鹿児島薩摩中央家畜市場であります。全国トップクラスの値がつく市場であることをご存じでしょうか。議員のお一人が毎月データを一覧表にして届けてくださいます。4月の全頭平均値1位は岐阜県関家畜市場561,000円、2位鹿児島薩摩中央家畜市場で516,000円。5月は1位が鹿児島薩摩中央家畜市場530,000円、2位長崎県五島家畜市場515,000円でした。この2カ月だけでなく今までもこのような推移で、いつも必ずベスト3に入っています。TPPの脅威がある中で上質な子牛の生産に励んでいる農家の一生懸命さをわかっていただきたいと思います。田植えの準備で騒がしくなった田んぼの畦から、蛙や蛇が農道を横切ります。このような普段みなれた伊佐の素晴らしい風景も一度壊されてしまうと元に戻すには多大な時間と労力を費やすことになるでしょう。処分される産業廃棄物は100年先まで、いや永遠に安全が保障されなければなりません。紫陽花の七色変化が気になる季節になりました。熱中症や豪雨に気をつけましょう。

 

    ぶかぶかの雨靴子らは楽しみて

 七色の紫陽花友の贈り物

 蛇・蛙迷惑そうに出でし畦

 頼りなき早苗水面に隠れおり

 一服の絵となる水田空映し   -新-


2013年05月31日