【特集記事】実践者が語る!空き家改修のリアルレポート

2026年09月24日

【特集記事】実践者が語る!空き家改修のリアルレポート

伊佐での物件購入をご検討中の皆様。
DIYでの空き家改修に挑戦してみたいけど、実際のところどうなんだろう・・と思っておられる皆様。

この記事は、そんな方々にぜひ読んでいただきたい!
空き家DIY実践者が語るリアルレポートをお届けいたします。

筆を取りますのは、3年前に伊佐市内の空き家を購入し、専門家にアドバイスをいただきながらDIY改修した経験を持つ、伊佐市地域おこし協力隊OG(空き家担当)の田中久美子です。

現在は改修した古民家にて、夫と二人でゲストハウスとカフェを運営しています。

それでは、伊佐市の空き家改修リアルレポートにお付き合いください。

 

【物件の探し方】

私と物件との出会いは、「人からの紹介」です。

当時の地域おこし協力隊の担当だった市役所職員さんが、空き家バンクも担当されていました。古き良きものへの情熱がとてもある方で、その熱は当時の空き家バンク物件紹介記事からもひしひしと伝わってくるものがありました。

協力隊に着任してまもない頃に、「田中さんにぜひみてほしい物件がある」とご紹介いただいたいくつかの物件のうちの1つが、のちに購入することになる物件です。

これが、初めて物件を訪れた際に撮影した写真。

所有者さんは遠方にお住まいで、管理を続けることが難しくなってきており、更地にすることも検討されているとのことでした。

画像からもわかる通り、風格のある立派な古民家。
6年間空き家だったそうですが、ご親戚の方が近隣にお住まいだったため、水回りや風通しをしてくださっていて、今すぐにでも住むことができる状態でした。

まだまだ何十年も活躍してくれそうな素敵なお家だなと感じ、購入に向けてお話を進めていくことになりました。

ここで私がお伝えしたいのは、伊佐市の空き家購入において
知人からの紹介』も選択肢に入れていただきたい、ということ。
知人からの紹介を私がおすすめしたい理由は、以下の通りです。

  • 不動産会社や空き家バンクに未登録の物件に出会える
  • 売り手・買い手の信用があり、顔が見えることで安心感につながる
  • 地域や物件についてのリアルな情報を知ることができる
  • お互いの事情を理解した仲介者の存在により、希望のマッチングが生まれやすい

実際に私の周辺にも、知人からの紹介から物件購入や売却に至った方がおられます。
不動産会社・空き家バンクの利用に加えて、「知人からの紹介」も加えていただくことで、空き家の好循環が生まれたらうれしく思います。

※個人間の取引であっても、専門家を交えて契約を結ぶなど、双方が安心して売買契約を結ぶことを推奨いたします。

 

【自己改修の手順と手段について】

地域おこし協力隊としての私のミッションは、情報発信・空き家・移住にまつわることでした。

そこで、自身が購入した物件を改修していく様子を発信し、
DIY未経験の私が空き家改修に挑戦する姿を見ていただいたり、実際にDIYにチャレンジできる機会を作り、空き家の利活用促進を目指すことにしました。

 

ステップ1:残置物の片付け

最初に取り掛かったのは、残置物の片付けです。

物件購入にあたり、所有者さんやご親族の方に必要なものを引き取っていただいた後に、残ったものの利用や処分をお任せしていただくことになりました。
売買価格に処分料も考慮していただいたり、引き続き使用できそうなものを使わせていただくことができ、大変ありがたかったです。

とはいえ、人の暮らしというのは、想像以上に多くのものに囲まれているものです。
家具・布団・食器・衣類・書籍など、たくさんのものを1年がかりで少しずつ処分していきました。

伊佐市には、「未来館」というゴミ処理施設があります。
分別したゴミの持ち込みが可能で、数えられないほど足を運び、合計で1トンを超える不要物を処理していただきました。

また、未来館でも「リサイクル品」の販売を行なっており、持ち込んだ不用品の中でも未使用で状態の良いものが販売されていたりします!

▲未来館で購入した5枚100円のレトロ食器 カフェで活躍中!

▲名作絵本は1冊100円 ゲストハウスの本棚に

 

ステップ2:改修必要箇所の確認

私は地域おこし協力隊の空き家バンク担当だったこともあり、購入した物件の改修をワークショップ形式で進めていくことにしました。

経験・性別を問わず、誰でも参加できるワークショップを通して、空き家の利活用促進を身近に感じていただきたい思いがあったからです。

とはいえ、私もDIYは全くのど素人。
ワークショップの指揮をしていただけるような方を探していたところ、鹿児島県内で活躍する「コミュニティ大工」と呼ばれる方々と出会い、コミュニティ大工メンバーで建築士の資格を持つ守友寅次郎さんに現場をお願いすることになりました。

※コミュニティ大工の詳細はこちらのリンクよりご覧いただけます

▲壁を剥がし、状態を確認している様子(筋交にシロアリ被害確認)

▲床板の一部にシロアリ被害が見られ、床板を剥がし現状確認している様子

廊下や居室など、ところどころにシロアリの跡が見られましたが、
梁や構造上重要な部分には、被害がないことがわかりました。

▲床板に残る蟻道

 

ステップ3:改修スタート!

家屋の現状が確認できたら、イメージした間取りに合わせた改修作業がいよいよスタートです。

改修に必要な工具は、夫の友人の大工さんやDIY経験者の移住者仲間、コミュニティ大工・守友さんにお借りできました。
新たに購入した工具は、インパクトドライバーや水平器、マルチツールです。

私たちが実際に行った改修箇所と、その方法について簡単にご紹介します。

 

床下の防蟻・防湿処理

床板を剥がして、まず取り掛かったのが床下の防蟻・防湿処理です。
床下は空間が狭いため、床板を外してスペースを確保できるうちに、床下処理をすませます。

▲ホウ酸を塗布する様子

私たちは防蟻対策として、柱という柱に「ホウ酸水」を塗布しました。

沸騰したお湯にホウ酸を溶かしたものを、ハケでひたすら塗ります。
お湯に溶けた状態のホウ酸水が乾いて、結晶化してから効力を発揮しますが
塗っている最中もお湯の温度が下がると結晶化が進んでしまい、塗布しづらくなるので、適宜カセットコンロなどで温めながら塗布していきます。

この処理は、シロアリが木材を食べて効果を発揮するものです。木を食べたシロアリが
被害を拡大させない、シロアリを増殖させない効果が期待できます。

また、ホウ酸は無機鉱物であるため分解がされにくく、雨水が直接かからないとされる床下では、長期的な効果が期待できるのだそうです。

床下の木材全てにホウ酸水を塗り終えたら、次は湿気対策です。

私たちは「防湿シート」を使用することにしました。
しっかりした透明ビニールシートをイメージしていただければと思います。

それを床下全面に敷いていき、重しとして砂利を敷きました。
また、束や束石の隙間からも湿度が上がってこないように、「機密テープ」と呼ばれる粘着の強いテープで密閉していきます。

▲防湿シートと機密テープでしっかりカバー

シートを敷いた翌日には、シート外側に水滴が溜まっていました。
骨の折れる作業ですが、文字通り目に見えて効果が出ていることがわかり、やった甲斐があったなと感じています!

 

床断熱・床仕上げ

畳をあげて荒床を剥がすと、束で支えられた太い角材「大引(おおびき)」が現れます。
この大引に対して、直角に「根太(ねだ)」を45センチピッチで通していきます。

この根太と根太の間に、断熱材の「スタイロフォーム」を入れていきます。

スタイロフォームは、ポリスチレン樹脂を使った板状の断熱材・・・発泡スチロールの分厚い板のようなもので、ホームセンターで購入できます。

カッターで簡単に切ることができ、軽いので女性でも作業がしやすいですが、その分割れやすいので、はめ込む際には踏み抜くことのないように、合板などで足場を確保しながら入れていきます。

 

スタイロフォームを入れた後、合板で蓋をして、床の表面になる材を敷いたら床断熱は完成です。

 

仕上げの床材には、畳の下に用いられていた「荒床」を使用しました。
取り外しの際に割れないように気をつけたり、使用できそうな部分をカットして水平をとるなど、ワークショップ参加者やDIYの先輩のご協力があり、素敵な床に仕上がりました!

 

壁断熱・漆喰仕上げ

壁の断熱も、床断熱と同じ手順で進めていきます。

壁の表面にある材を剥がし、間柱の補修をしたのちに、グラスウールという断熱材を入れていきます。

グラスウールはガラスを細かい繊維にして綿状にしたもので、断熱・防音・防振性に優れており、ホームセンターで購入することができます。

▲壁一面にグラスウールを入れた様子

 

その後、石膏ボード(プラスターボード)を貼り付けていきます。
石膏ボードは耐火・防火・遮音性に優れており、カッターなどで簡単に切ることができる施工性も魅力です。

しかし、一般ゴミとしての処分ができないため、解体時には購入した石膏ボードと同等の処分費用が発生します。

石膏ボードの継ぎ目・ビス穴はパテで埋めてあげると、この後の漆喰塗りが際にキレイに仕上がります。

 

漆喰塗りをして仕上げていきますが、柱や床・窓枠などに漆喰がつかないようにマスカーや養生テープを使って「養生」をしていきます。漆喰塗は養生8割と言われるほど、大切な作業をして、ようやく塗りはじめることができます。

漆喰には、自分で水と混ぜて使う粉タイプと、すでに水が混ざっているタイプがあります。粉タイプは安価ですが、大量に使用したい場合はミキサーなどがないとなかなか大変です・・!

すでに混ざっているタイプのものは、割高になりますが初心者にも扱いやすかったり、おしゃれなカラー展開されています。

 

【ビフォー・アフター】

最後に、改修のビフォーアフターを振り返りながら
必要資材と費用(※2024年価格)をざっくりご紹介いたします。

【before】7畳和室→【after】ドミトリールーム

▲7畳の和室、物置として使われていた

▲押し入れを解体、壁・床暖熱の前段階

▲壁に漆喰を塗った直後

▲特注の二段ベッドを置いたドミトリールームに

  • 防湿シート(床)  ¥4,268×2 
  • スタイロフォーム(床)¥1,498×8
  • 気密テープ(床)¥595×3
  • 合板(床・壁)¥1,408×10
  • 無垢ボード(床)¥2,980×8
  • グラスウール(壁・天井)¥9,455×3
  • 石膏ボード(壁)¥648×23
  • 漆喰(壁)¥12,980×3

※上記に二段ベッド制作費用は含まず

 

【before】6畳和室→【after】2名個室

▲床間のある6畳和室

▲床下・床断熱処理後

▲壁造作・床仕上げ段階

▲2名定員の個室になりました!

 

  • 防湿シート(床)¥4,268×1
  • スタイロフォーム(床)¥1,498×8
  • 気密テープ(床)¥595×3
  • 合板(床)¥1,408×8
  • グラスウール(壁・天井)¥9,455×2
  • 石膏ボード(壁)¥648×7
  • 漆喰(壁)¥12,980×1

 

【before】応接室・土間→【after】飲食スペース

▲土間の上に作られた応接スペース

▲応接室の壁解体後

▲壁断熱・土間床生コン入れ

▲土間を生かしたカフェスペースに

 

  • グラスウール(壁・天井)¥9,455×2
  • 石膏ボード(壁)¥648×18
  • 漆喰※粉タイプ(壁)¥5,480×1
  • セメント、砂利、ワイヤーメッシュ(床)¥12,803

 

空き家改修のリアルレポート、いかがだったでしょうか?

今あるものに少し手を加え、長く・大切に使っていくことができるスキルが身に付く。DIYには、これからの暮らしのヒントが詰まっている気がしています。

今回ご紹介した物件は、古民家カフェ たべるたなかんと、伊佐のゲストハウスたなかんいう屋号で営業をスタートしていますので、ご宿泊やランチ・カフェを楽しみつつ、改修後の様子を見ていただけたら嬉しいです。

 

 

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