ガラッパの謎
2020年07月01日
伊佐は田植えを終え、お赤飯やお餅を田の神様や水神様へお供えし、天・地・水に感謝しているところです。‘早苗饗(さなぶり)’に疲れも吹っ飛びます。居酒屋にコロナ自粛していたお客様も戻りつつあります。私も定期的にテイクアウトを続けながら、時どきは街の居酒屋さんへ出かけます。先日は同級生と飲みながら、去年のゴルフを懐かしむことでした。昼はゴルフ、夜は居酒屋、二次会のカラオケまで最高に盛り上がったことが嘘のような気がします。
伊佐市内でもすこしずつではありますが日常を取り戻しつつあります。児童生徒さんたちも感染予防しながら学校を楽しんでいます。休校を経験したことが友達や仲間の大切さを気づかせてくれたと思います。幸いに伊佐市は数日だけの休校で済みました。授業時間の不足分は、その後に取り戻すことができましたので、夏休みには影響しないようです。コロナ禍の影響で移動制限される中、働き方改革で生まれたテレワークが主流になるような職種は伊佐市内ではまだまだ限られています。
さざ波のように風に揺れる青田の風景は私の大好きな風景のひとつです。先月は日に日に早苗田が増えていく風景でしたが、今月はその早苗が伸びて青田となり、力強ささえ感じます。秋の豊作を予感させるようでもあります。大雨や台風の被害を最小にとどめ、ウンカやいもち病等の病虫害を防ぐことも徹底しなければなりません。豊作になるには植えた一株の苗ができるだけ多くの株に分げつすることです。そのためには気温も高く晴れ間の多い日が続くことが望ましいのです。
梅雨が早めに上がり、気温も上昇することを願っています。地球には自然の摂理があり、伊佐にとって適地適作の代表的な作物はお米ですが、今月から10月の収穫までは自然の摂理に異常がないことを祈ります。昔から神社での六月灯、花火大会、夏祭り等々・・盛んに行われてきたのは、自然の摂理への祈りの表現だったのではないかと思います。神様は賑やかなことがとても好きで、これを「ハレ」というそうです。今年はコロナ禍の影響で市と地域主催の行事はいずれも中止になっていますが、いつも心の中を「ハレ」にして夏を楽しみましょう。
夏休みに読んでほしいミステリー小説を紹介します。久真瀬敏也(くませとしや)さんの『ガラッパの謎』(宝島社文庫2020年6月18日発刊)です。久真瀬さんのデビュー小説になりますが、第18回「このミステリーがすごい!」大賞の‘隠し玉作品’です。「このミス・・」大賞は、年末の定番商品となっている「このミステリーがすごい!」(愛称「このミス」1998年から発行)から誕生したことを私は知らなくて、本屋大賞実行委員会理事の内田剛さんのあとがき解説を読んで知りました。伊佐がストーリーの中心になっており、隠れキリシタンとガラッパとの謎を解いていくミステリー仕立てになっています。
久真瀬さんは2年前の伊佐市市制10周年記念事業‘まちぶん’文学賞の佳作に入賞した方です。‘まちぶん’は株式会社SANKYOと株式会社エブリスタと伊佐市が共同で企画した記念文学賞でした。私も審査員のひとりとして関わりましたが、とても印象深い作品でした。‘まちぶん’で伊佐を訪れ、取材を重ねた著者が、多くのヒントを得て『ガラッパの謎』の執筆に至ったのではないだろうかと想像します。熊本県人吉市や八代市をはじめ九州各県に痕跡を求めながら謎を解いていきます。知らなかった伊佐、なるほどと思える伊佐、新しい発見があります。
今月から公共施設については通常どおりご利用いただけますが、3密を避けるようにご配慮いただきたいと思います。大きなイベント等を企画される場合は、施設管理をしている教育委員会や伊佐PR課等に事前にご相談ください。健康づくりを目的とした「元気アップポイント忠元」は、7月から再開し、忠元公園で毎週水曜日18時から20時まで実施しています。肺がん検診は1日から8日まで、校区ごとに実施いたします。広報いさ(6月15日号)の‘7月伊佐市カレンダー’に日時と場所が記載してありますのでご参照ください。
私の出張も4か月ぶりに解禁になり、主な県外出張は3日の福岡(九州地方整備局要望)、7日から9日までと13日から16日までの東京(中央要望)が予定されています。できるだけ出張は控えたいのですが、感染防止を徹底しながら公務を遂行します。熱中症と感染防止のバランスを図りながら、湿度も気温も高いこの季節を乗り切りましょう。栄養と休養と運動が健康の3原則と言われます。私は体力に見合った、年齢に添うような健康管理に努めたいと思います。皆さまの健康を心から願ってお祈りいたします。くれぐれも熱中症と感染症にご注意ください。
夕立に鼻緒を濡らし駆ける坂
夕菅の湖畔の風に揺れてをり
手水汲む浴衣に撥ねし清め水
露天風呂記憶の中の夏休み
初恋は叶わぬものと遠花火
凌霄花遊ぶ黒蝶昼下がり -新鶏-
- こんな時には?