ふるさとの夏休み
2011年08月01日
「帰省子」という季語がありますが、夏休みの風情とともにふるさとを感じさせてくれます。学生の頃は東京・大阪からは寝台列車で帰省していたので、列車を待つ間にホームではお国訛りが聞けるものでした。車内ではしばらく寝付かれず、車輪の音を子守唄に、しだいに眠ってしまったものです。気がつくと九州のどこかで夜が明けています。見慣れた景色、通り過ぎる顔がなんとなく”九州人”。言葉は言わずもがなです。山野線薩摩大口駅に降りると、「帰ってきたなぁ」と実感するものでした。鉄路が廃止されて23年、四半世紀近くになろうとしますが、大好きな「ふるさと」であるこ 旧大口駅ホーム昭和61年撮影
とには変わりありません。
昨年は口蹄疫を防ぐために、7月末まで国道などでの消毒作業に追われました。多くの人が集まることが自粛されたので、夏祭りなど夏特有のイベントが軒並み中止でした。今年はお陰さまで梅雨も早く明け、好天が先月から続いています。子ども達が夏休みに入った時はすでに”夏真っ盛り”でした。どこのプールも子ども達でいっぱいですが、受験を控える高校生は課外授業に頑張っています。全国高校野球は県の代表校も決まり、すでに秋の新人戦の練習に入っています。ほとんどのスポーツは夏の暑い時期に走りこんだり、鍛えたりすることによって強くなるものです。勉強もスポーツも若い時、暑い時が鍛えどころです。
東日本震災の被災地では夏休みもないような状態です。児童・生徒や若者が本来の活動を思いきりできないことに心痛みます。思いやる気持ちと、「強く生きてください」と励ますことしかありません。ふるさとで過ごせない被災者が多いことも辛いことです。復旧が急がれます。国に、政府に本当にしっかりしてもらいたい。ふるさとを意識する八月だからこそ、復旧の遅れに憤りすら感じます。被災直後ご縁のあった南三陸町の震災復興基本方針(素案)を、町のホームページで知ることができました。「創造的復興をめざして」の内容は、復旧・復興・発展で、平成33年を目標年次とされています。
津波の教訓をもとに、新しい「ふるさと」 を取り戻すために血のにじむような苦労です。町の人々は覚悟をもって取り組まれます。国や政府に手遅れ感や理解不足が起きないようにしなければならない。ましては、縦割り行政の弊害が出てはいけない。東京で考えるのではなく、被災地で考える復旧にしてもらいたい。ふるさとはそこに住む人々のふるさとだからです。安心して暮し続けられるまちづくり、自然と共生するまちづくり、なりわいと賑わいのまちづくり、いずれも「ふるさと」そのものの骨格を成すものです。ふるさとは”あたり前の日常”を取り戻すところです。
伊佐の夏祭りや六月灯は先月から各地で行われていますが、東日本を励ます気持ちを色々なところに感じます。団扇やタオル・Tシャツに〝がんばれ東日本〟や募金箱、ステージからの呼びかけなど、私たちのまちだけでなく全国のイベントで同じようなことが行われていると思います。気持ちを繫ぎ続けるための活動や努力をしなければ、ややもすると記憶が薄れていく懸念があります。6日の伊佐市花火大会(湯之尾滝)や各校区の夏祭りでも、大いにこのことが取り上げられるでしょう。平出水(13日・平出水小)、山野(13日・山野中)、針持(14日・針持小)、田中(15日・北部体育広場)、曽木盆踊り(15日・西太良コミュニティグランド)などが開催されます。
今年は各福祉施設や企業の夏祭りも行われます。 徳辺保育所の夏祭りも20日に行います。今年が最後になるので皆さんに参加していただき、盛り上げていただきたいと思います。夏休みは障がいを持った児童・生徒も、ステップ夏休みということで、今月30日までグランド近くの障害者センターで、一日を友達と楽しく過ごしています。高校生や中学生、学校の先生など、ボランティアの協力をいただいています。「子育てにやさしいまち」を目指しています。一緒に遊んでいただけるとありがたいです。このような自由なボランティアは夏休みでなければできない体験です。
ステップ事務所(でんわ0995-29-5500)にご連絡ください。
祭りを重ねながら晩夏となりますが、まだまだ暑い日々が続きます。暑い夏の過ごし方は音楽が一番かもしれません。太鼓を打つのもいいし、歌を歌うのもいいかもしれません。私の暑気払いは、運転しながらビートルズの曲♪を聴くことです。45年前の初来日が印象的で、その後の10年間は私の青春そのものでした。還暦を過ぎた私にとって、青春時代は「人としてのふるさと」みたいな場所です。夜行列車で20時間近く揺られた青春の旅が、今では6時間半の静かな新幹線での上京です。本を読み、疲れたら車窓からの景色に目をやり、たまには俳句を詠む。東京・名古屋・大阪・広島・福岡から近くなりました。「ふるさとの夏休み」を楽しみに帰省しませんか。お待ちしています。
陽水も拓郎もいて夏休み
帰省子の時々使う他所言葉
せせらぎに一日の涼足浸す
笹舟の流れのままに盆蜻蛉
会えねども月を鏡に盂蘭盆会 -新-
- こんな時には?