美しい絆と風景~師走の伊佐から~
2011年12月01日
師走は師が走るほどに忙しいと覚えているが、確かに忙しい時期になってきました。お坊さんが年末に檀家まわりを忙しくするところからきているそうです。12月をシハスと読み、それの当て字で〝師走〟という文字を充てたとも言われます。一年が過ぎるのを「速い」と感じる月名です。忘年会も先月から始まっているそうなのでなおさらのことです。季節の移り変わりというより一年の締めを感じます。
一年を振り返り10大ニュースが報じられますが、今年は10大ニュースというより、東日本大震災と福島原発事故だけの〝1大ニュース〝と言っていいでしょう。被災された皆様のことを思えば、軽々しく10大ニュースなどとランク付けみたいなことはやめるべきだと思います。対応が遅かったことへの反省や今後の迅速な復興を、今一度しっかり考える12月であってほしい。
ますます寒くなる被災地の皆様に何ができるかを考えなければなりません。先月のふるさと祭りでも南三陸町の物品を販売し、「少しでも」との思いから、実行委員の方々が来場者にご協力をお願いされていました。忘れないためにもなんらかの行動をしなければなりません。被災地・被災者に心を寄せることを忘れてはなりません。新しいニュースが東日本大震災を薄めてしまわないようにと言いたい。
伊佐の風景はすっかり冬の色と言っていいでしょう。木枯らしや霙(みぞれ)混じりの時雨模様がいっそう伊佐を際立たせます。田んぼ一面に畜産農家の藁(ワラ)を丸めた大きな白いロールベールの玉が何十個も転がっています。牛の命ともいえる貴重な粗飼料です。口蹄疫対策上は輸入藁の安全性に不安があるので、できるだけ国産藁を確保したい。水稲農家と畜産農家の協力体制も重要になってきました。
目を夜空に転ずれば、星の輝きとお月様の変化に伊佐の素晴らしさを実感します。北斗七星は見上げる私に降りかかるほどの大きな柄杓に見えるし、オリオンは真上より少し傾いて輝き、東に金星、西に木星と大きな輝きを見せてくれます。月は満月で良し、三日月で良しと言えるほどの楽しみ方ができます。冴えた夜空の伊佐は身も心も綺麗になるような気がしま す。
全国のパワースポットが最近話題になりますが、伊佐はまさに夜空から大地まで〝丸ごとパワースポット〝と言っていいでしょう。星を見上げながらの朝のウォーキングは、山際に輝く木星や金星を遠くの家の灯りと見紛う時もあります。東の空が紫、橙に光を色に変え始めるのが6時ごろです。やがて白み始め、川面から上がる霧が一面を覆う様などは見事というしかありません。
26日、いきなり新燃岳が噴火し、市長室の窓から見えた噴煙を屋上まで上がって見たのが忘れられません。春から夏の風向きを懸念して降灰対策をしながら鎮静化するのを願っている間もなく、3月に東日本大震災と大津波、原発事故と未曾有の災害が起きたのでした。市民の皆様や各団体・サークルなどからの募金や伊佐米などの支援に感謝申し上げます。伊佐市の職員も40名ほどが交代で南三陸町への支援をさせていただきました。
震災支援はその後も牛の粗飼料藁を大型トレーラーでJAみやぎ仙南に届けたりしました。一日も早い復興をお祈りしますし、今後も心を寄せていこうと思います。平成18年の水害から昨年までは梅雨や台風の被害もなく過ぎていましたが、今年の7月6日の大雨は 緊張しました。川内川の流量としては18 年災害に匹敵するものでしたが、一部の浸水被害はあったものの、被害は最小ですみました。曽木分水路や築堤、河床掘削、移動式排水ポンプなどの激甚災害事業がほぼ完了する時期になっていたので、事業の効果が出たものと思います。
8月末には伊佐米をマカオにセールスに行 くということも実現したのは、今年度から力を入れているブランド推進の成果です。関東のホテルや米屋さんにもセールスを行っています。伊佐農林高校生が鹿児島や東京でのイベント開催にも一役買ってくれています。
力発電事業の協定や、11月5日の新曽木大橋の竣工渡り初めなど明るい話題も続いていますが、10月中旬からは伊佐市内の4校の中学校を27年度に2校に再編成するということで、保護者や市民への説明会を校区ごとにおこないました。振り返 るとまだまだありますが、反省とともに未来を志向して来年度の施策へつなごうと思います。
九州新幹線の全線開通で福岡や大阪・名古屋・東京が近くなり、伊佐ふ るさと会も次々に形が出来上がりました。ご苦労いただいた皆様に心から御礼申し上げます。ふるさと大使もお引き受けいただきありがとうございました。この一年間にふるさと支援のために「ふるさと応援寄付金」をお寄せいただいた皆様にも心より御 礼・感謝申し上げます。大切に使わせていただきます。
〝ふる里のさつまの国は空あをし ただあをあをと澄み通るなり -海音寺潮五郎-〟
この一年間、〝私の575〟の拙文をお読み いただき、ありがとうございました。来年も今年同様によろしくご指導やご意見をいただきたいと思います。年末に向けあわただしくなりますし、向寒の時節柄、風邪や体調管理にお気をつけられ、良い新年をお迎えいただくようにお祈りいたします。来る年が昇る龍のごとき年でありますように願っております。
去年今年貫く棒の如きもの -高浜虚子-
時移り人変わりても神舞
初めての幼き舞台や神舞
篝火に顔火照りて神舞
月明かり照らす舞台や神舞
しんしんと月白きまで神舞 -新-
- こんな時には?