伊佐の里コンサート
2013年08月31日
先月7日に立秋を迎え、暦上では「秋」になりました。挨拶も’暑中お見舞い・・’から’残暑お見舞い・・’に変わりますが、今年の猛暑・酷暑では「秋」を全く感じることができなかったように思います。9月に入ってやっと残暑と言えるかもしれません。暑い気候とは関係なく日の出、日の入りは確実に秋分の日へ向かっていますし、中秋の名月が19日です。日本の四季は実際の気候と暦の季節が重なり、情緒豊かな感性や日々の暮らしの落ち着きを織りなしてきたように思います。24節気がそれを一番よく表しています。7日が’白露’で23日が’秋分’ですが、今年の異常に高温の夏からはかけ離れた感じがします。
伊佐平野の稲は、今年の暑い夏にも負けることなく順調に生育し実りの秋を迎えます。圃場整備事業により用排水路が整備され、一部の天水田を除けば少雨にもかかわらず水の心配はありませんでした。暑い中で畦の草払いも効率の良い機械類の活用で、作業のきつさがいくらか軽減されつつあります。豊作と聞けばその疲れも吹っ飛ぶでしょうから、これからの台風やウンカやいもち病に気をつけたいものです。できるだけ農薬を使わない稲作を推進しているので、先月のうちに共同防除で対応し、今後も日頃の観察を徹底していくことが大切です。
TPP交渉が気になるところです。いかに日本が通商国家だとしても農業を工業製品の犠牲にしてはなりません。米やサトウキビなど土地利用型の農業は地域経済だけでなく、地域の生活や防災に大きな役割を果たしています。今年のような猛烈に暑い夏に加えて少雨の年でも伊佐の水は枯渇していません。田んぼがダムの役割を果たしている証拠です。姉妹都市である喜界町は島全体がサトウキビ畑として整備され、地下ダムにより水が確保され、島の生活基盤を支えています。様々な地域でそこに住む人々の生活の営みが、日本の国土保全を果たしているのです。
食糧安保という言葉が一時期よく使われていました。最近では数値化できる品目で交渉をおこない、概念的な食糧安保を声高に言う政治家や官僚は少ないように思います。私はエネルギーと食糧を自給できない国の繁栄は危ういと考える一人です。通商国家としての繁栄はしたたかな外交能力と手段があってはじめて成り立つものと考えます。日本は世界地図の位置関係では極東と称される辺境にあり、ましてや海に囲まれた島国です。したたかな外交ができる条件を位置的には持っています。
外交は折り合いをつけながら残すべきものは残す強い意志が必要です。実りを前にして、日本の田園風景が今後激変していくことがないように祈るばかりです。農業に変革が必要なことも理解しますが、それが外国の圧力によってなされることだけは避けなければなりません。あくまでもこれからの中心になる若い農業人が望む近代化・変革でなければなりません。農業経営の集約化、集団化、法人化の方向で進めば、農業従事者は多くはならなくとも、日本は生活上も国土保全や国防上もしっかりした国家になるでしょう。
9月は米の収穫作業が本格的に始まる10月に比べれば、比較的農作業は余裕があります。したがって運動会や敬老会が各地域や学校で行われます。伊佐農林高校の体育祭が7日、大口高校体育祭が8日です。市内4中学校体育祭はすべて15日、小学校運動会もほぼ29日に行われます。敬老会は各自治会や福祉施設など15日・16日に集中します。16名の100歳到達者がいらっしゃいますので、13日に訪問させていただきます。100歳以上のご高齢者は33人です。90歳以上の方々が835人で、75歳以上の高齢者6,436人の12.97%になります。お元気で長生きをしていただくことが私たちの願いです。
体育祭や敬老会と並行して、行われるいろんな文化的な行事が、暑い中にも秋を感じさせてくれます。7日は親子ふれあい映画会を菱刈ふるさといきがいセンターと大口ふれあいセンターで行います。21日は国際ソロプチミスト大口伊佐の10周年記念事業として、お昼に大口ふれあいセンターでチャリティー落語会が開催され、春風亭柳之助さんと鏡味味千代さんが出演されます。同日夕方は市制5周年記念「伊佐の里コンサート」が文化会館で開催されます。東日本大震災のがれきの木片から製作されたバイオリンで東京芸術大学の澤先生が演奏なさいます。翌日22日は警察音楽隊によるふれあいコンサートです。28日が継続した音楽鑑賞の活動をされている’いさのおんがくたい’のコンサートです。
9月は防災月間としても活動の取り組みがあります。1日は各コミュニティー協議会がいっせいに情報伝達や避難訓練を市防災訓練の一環として行います。5日は准看護学校で救急医療週間にともなう救急訓練を関係機関で取り組みます。20日は養護老人ホーム敬寿園での消防訓練を予定されています。安全・安心が市民の願いであり、私たち行政の責務であります。市民と協力してよりよい伊佐市にしてまいります。市議会も2日に開会し26日が最終日となっています。日程につきましてはホームページでご確認ください。市政運営の車の両輪ですので、議論を深めながら市民の皆様にご理解や評価をいただけるように努めてまいります。台風などの災害がないことを祈りながら9月の挨拶といたします。
宝石の輝き朝の白露かな
稲穂へと命を繋ぐ白き花
野分け過ぐ何も変わらぬ山頭火
新しき花を供えて彼岸入り
さよならの向こうの舞台曼珠沙華
秋彼岸此岸浄土茜雲 -新-
- こんな時には?