♪ 雨に唄えば・・・ ♪
2014年06月01日
季節は正直だなぁ~。紫陽花の蕾が少しづつ色づき始めました。十数年前に佐賀県唐津市相知町の富永さんからいただいた紫陽花を今年も楽しんでいます。相知町には日本の滝百選に選ばれた”見帰りの滝”という名所があり、いろんな種類の紫陽花が滝とともにすばらしい景観を演出しています。滝百選に入らなかった曽木の滝でしたが、九州を代表する滝であると自負していた私たちは、当時の旧相知町でのサミットに参加しました。その時の担当課長だった富永さんと知り合ったのがその後のご縁の始まりでした。息子さんの貴博さんとも親しくなり、遠く離れていますが心の通じるご家族です。紫陽花の咲く頃になると思い出します。
花や季節ごとの行事に、思い出を辿ることができるのも人生の幸せなひとときです。田舎に暮らしていると、特に農事に関してはその印象が強いものです。ふるさとを遠く離れている人や、長くふるさとに帰っていない人にとってはなおさらでしょう。今月は関東・関西で高校同窓会、東海・北部九州でふるさと会が開催されます。出席される皆様とのふるさとの話を楽しみにしています。南九州以外は5月中には田植えが終わっていると思いますが、伊佐平野の田植えは、川内川やその支流からの水の恵みを受けながら、最盛期となるのが6月です。一枚の田に苗が植えられたと思うやいなや、次々に苗田は広がり、やがて伊佐一面に早苗が風に揺れるようになります。
6月はこの季節特有の風景や匂いがあります。水や風や土、苗や肥料や草の匂いは実感として確認できますが、風景の中に”脳が音で感じる匂い”もあります。せせらぎの音や蛙の大合唱、早苗を揺らす風は感覚的な匂いを感じさせます。さらには畦道に蛙が車に轢かれていたり、カタツムリをなにげなく踏んでしまったりする気味悪さもあります。これらは実感はないものの、意識することなく季節を脳で感じる匂いではないかと思うのです。他の季節にはない、梅雨時特有の匂いの感覚です。湿度の高い湿気のせいでしょう。外国にない四季の移ろいや月ごとの特徴、もっと細かく24節気なるものまで、実に見事な日本の自然です。
田植えの準備から植え付けまでは、忙しさの中でTPPをゆっくり考える時間は少ないと思いますが、作業が一段落する頃にはこれからの不安もまた頭をもたげてくるでしょう。田植え作業は、忙しい中にも終わった後の”さなぶり”まで気持が高揚しているものです。高揚している間は気持の強さで不安を払拭できますが、作業終了の安堵感とともに逆に今後のことを考えてしまいます。ましてや、政府は5年後に減反政策を廃止する方針を出しました。飼料米と食用米を選択させて農家所得の維持増進を図るとしています。机上計算(計画)通りいくとは思えないので不安が募るのです。
伊佐の農業も、コメだけに頼っている時代はとっくに過ぎたとわかっていながら、他の作物に比べたら圧倒的に作りやすい米作が主流です。作物以外では和牛の振興に力を入れていますので、ある程度排水のいい水田は飼料用の牧草地に使われています。今年度からの3カ年事業として、排水の悪い水田を乾田化するための補助制度を設けました。牧草以外の野菜を水田で大量に作付できるようにしなければ、政府の減反廃止には対抗できないと思います。野菜は乾田化された水田で栽培しなければ商品としての農産物にはなりません。牧草への条件以上に排水のいい水田が求められます。
議会が5日に招集され、月末の30日まで開催です。いろんな議論がなされると思いますが、チェック機能とともに、市の発展のための建設的な意見を多く聞けることを期待しています。伊佐市に一つしかない産婦人科クリニックへの支援策も今回の議会に出します。過疎自治体はどこも財政的には地方交付税に頼っているので、子育て施策はあれもこれもと総花的にできない現実があります。小学生あるいは中学生まで医療費無料化の自治体が増えている中で、伊佐市は子育て施策の優先順位を医師(産婦人科・小児科)の確保、保育所入所待機児童ゼロ、保育費負担軽減のための高い補助制度、発達障害を含む障がい児への先進的施策などにこれまで取り組んできています。
住みやすい伊佐市にするためには若者の活動も欠かせません。若者が組織や地域のリーダーとなるべく成長しなければ未来は拓けないでしょう。そのために、今年度人材育成事業として取り組んでいる平田大一さん(前沖縄県文化スポーツ観光部長・脚本家)の”平田塾”も3回目が行われます。前回の宿題を受講生がどのように平田さんにぶつけていくか楽しみです。昨年、国債を購入したご縁により実現した野村證券㈱主任研究員であられる和田理都子さんの”地域経済活性化セミナー”も楽しみです。13日(金)10時~11時半、大口ふれあいセンターで行います。若者だけでなくやる気のある方々はぜひ参加してください。
雨の続く日が多くなりますが、大雨や豪雨にならない程度に願いたいものです。ある程度の雨は命ある農作物には慈雨となります。人間の勝手によって創出された人口的な世界は情緒を不安定にします。適当な湿り気が暮らしに潤いをもたらしてくれます。たとえ雨が降っても、♪雨に歌えば・・♪の気持ちで明るく元気に過ごしましょう。私は、個人的には親戚の若者の結婚式も予定に入っているので、まさに未来志向の”June Bride“、大いに祝福したいと思います。
見帰りの滝に紫陽花そろい咲き - 新 -
曽木の滝怒涛のしぶき虹となる
白蓮のしぶきに濡れる滝の茶屋
梅雨半ば影絵となりぬ曽木大橋
公園に群れて紫陽花雨に映ゆ
早乙女の死語となりぬる八条植え
(撮影:比良 準一 様)
- こんな時には?