November Steps~秋から初冬の伊佐~
2014年10月31日
”霜月”は文字通り霜が降りる月ですが、24節気の’霜降’は10月下旬(23日)でした。いずれにしても晩秋から初冬へ季節が移ろいでいきます。英語ではNovemberですが、もともとはラテン語の9番目という意味だそうで、3月から数えて9番目というローマ暦の名残からきているそうです。若い頃JAZZに夢中になっていた頃、作曲家の武満徹が尺八や琴という和楽器と西洋音楽との融合(拮抗)に挑戦した作品「November Steps」(1967年初演)が11月の語感印象としては強く残っています。前衛的なオーケストラに違和感を覚えつつも、JAZZ的要素に引かれて分からないままに聴いていました。今思えば、18歳で都会に出た若者のカルチャーショックだったのかもしれません。
11月は、文化祭や校区対抗の伊佐市ふれあい駅伝大会などが行われますが、稲の収穫作業も少し残っている圃場で終わりとなります。成熟が早い”ヒノヒカリ”に比べて一ヶ月近く遅れて熟する”アキホナミ”がまだ圃場に残っています。伊佐市の認定農業者が200名近くまで増えている中で、約2800ヘクタールの圃場が稲作や畜産、野菜栽培に活用されています。それらの中でも秋の稲の収穫は”米どころ伊佐”の農家にとって大きな仕事です。今年は、日照不足から収量が若干減少する見込みです。JAの仮渡金も昨年より1,150円安く、1等ヒノヒカリで5,300円です。来年度へ向けた稲作対策の会議を「伊佐農業を考えるシンポジウム」として、21日(菱刈環境改善センター)で開催します。
縄文時代後期から弥生時代にかけて大陸から日本に伝わり普及した稲作が、現在は消費の減少や担い手減少(少子化)で有史以来の危機に直面しています。伊勢神宮や皇室(朝廷)の稲・米についての儀式を考えると、日本の文化、風土、民族の根幹をなすものが稲作であると思います。海に囲まれた狭い国土(島国)での循環型の食の生産と消費は、日本民族の生きていく知恵として2千年以上も受け継がれてきました。今年の2月に井上雄彦さんが伊勢神宮に奉納された『承』の書画に日本の農業の循環性を発見しました。それは命の循環でもあります。輸出入のバランスを取るTPPで簡単に解決されるものではありません。
収穫の終わりとともに文化祭や収穫祭が市内各地で催されます。2日には田中校区、大口東校区、羽月校区、菱刈校区で文化祭や駅伝大会、PTAバザーなどが行われ、羽月西校区では黒豚まつりも同時開催されます。9日は牛尾校区、16日は平出水校区でそれぞれ開催です。市文化祭は、3日の文化の日に文化会館と菱刈環境改善センターで行われます。「いさ太鼓まつり」が8日(文化会館)、収穫祭としての「ふるさとまつり」が8日と9日の両日、菱刈農村グランドで盛大に開催されますので、ご家族やご友人揃って伊佐の収穫をお楽しみいただけたらありがたいです。新米やとれたて野菜などを準備してご来場をお待ちしております。青少年健全育成大会を15日に文化会館で開催します。今年は沖縄から講師として平田大一さんを招き、若者人材育成講座”平田塾”をシリーズとして5回、市内高校への出前講座2回を開催しました。その中で制作された「鬼武蔵忠元」の主題歌などの活動をもとに健全育成大会が行われますので期待してください。
大口高校生の進学率や受験レベルの向上を目的とした基金を創設するために、12日に臨時議会を開いていただきます。地域の高校の存続は、今後の自治体の命運を決めると言っても過言ではありません。その意味で、伊佐農林高等学校が創立100周年の記念行事を22日に開催されることは、大変意義深いことです。昭和9年2月2日の官報には鳩山一郎国務大臣の答弁として、「(前略)鹿児島ノ伊佐実業学校ノ如キハ、矢張リ非常ニ良キ実験実習ノ結果ヲ挙ゲテ居リマシテ(後略)」と、国会で紹介されたほどでした。全国から集まる旧友との久しぶりの再会に盛り上がることでしょう。今後とも次代を担う生徒へのご指導やご支援をよろしくお願いします。
11月は収穫と文化とスポーツがミックスされて、師走・新年を控えた最後の自由な月間という印象です。「November Steps」の名の通り、11の段(節)を演奏するがごとく30日間が過ぎそうな気がします。8日に姉妹都市韓国南海郡からの子ども交流団をお迎えしたり、9日は”いさのおんがくたい”が鹿児島国際大学声楽専攻生を招きます(文化会館)。10日は秋の火災予防運動セレモニーとパレードを市内幼児・園児と消防団などが行います。12日に市内小・中学校音楽発表会(文化会館)と、障害者レクレーション大会(総合体育館)です。
16日にシルバー人材センター主催のシルバーまつり(文化会館)、曽木の滝紅葉祭りが23日(ライトアップは22日~24日)、同じく22・23日に劇団「非常口」の公演が岩戸鉱泉であります。23日は湯之尾神社で恒例の神舞が夕方から夜の更けるまで続きます。24日に障害児療育センターたんぽぽの秋まつり、28日は下手水天神社の蕎麦祭り(水天祭)、そして11月30日最後を飾るのが海潮忌・文学フェスティバル(ふれあいセンター)です。
最後に私と副市長の主な県外出張をお知らせします。私が8日に熊本伊佐会、14日に宮崎県庁へ国道447号線の要望会、19日・20日は企業立地懇話会で上京します。25日・26日は川内川上流期成会中央要望会で再び上京です。副市長は15日に関西伊佐会で大阪に、22日に北九州ふるさと会で北九州へ出張の予定です。
私の11月は、1日の大口酒造創立45周年記念ゴルフコンペ(島津ゴルフ倶楽部)でスタートして、30日の海潮忌でゴールの一ヶ月です。大山酒造さんの11月から始まるテレビコマーシャルにもさりげなく出ていると思います。この市長の部屋の紹介写真は、PRビデオ撮りの時に撮影した元Jリーガー前園さんとのツーショットです。いつまでもミーハーなのが若さの秘訣かもしれません。師走前の自由時間をお楽しみください。伊佐へのご来訪を心よりお待ちしております。
柿ひとつ残りて鳥の喜びぬ
落ち葉掃く朝の日課と老いの日々
稲株につまずく父の老いを知る
若き日の苦き珈琲‘枯葉‘聴く
海潮忌恋の行方を知る銀杏 ― 新 ―
- こんな時には?