大口高校支援
2014年12月01日
師走になりました。師走の意味は、子どもの頃に「先生も走りまわるほど忙しい月」と覚えたものでした。諸説あるらしく、要するに忙しい、年末・年始がすぐ来てしまうほど時間の過ぎるのが早いということでしょう。伊佐の正月の風物詩として”鬼火焚き”があります。その準備のため、今月の各日曜日は集落の青壮年の方々は忙しいことと思います。私の小木原下自治会は14日の午後から櫓を組み、夕方から青壮年部の忘年会を行うのが慣例化しており、集落の絆を確認するいい機会になっています。青壮年の方は、家族とゆっくりできるのはクリスマス・イブだけかもしれません。その頃になると、書き遅れていた年賀状が気になっているかもしれませんね。
先月は、県立高校の話題が全国版のニュースになりました。国公立大学等に合格した大口高校卒業生に奨励金を出す議案(5,000万円の基金条例)を議会で議決していただいたことがマスコミで大きく取り上げられました。地元新聞には11月8日と13日に掲載され、その後テレビ報道などがあり、再び24日に新聞掲載されました。市民の皆様は比較的冷静にお考えでありますし、大口高校生も素直に受け止めています。16日のヤフーニュースに取り上げられてからは、インターネット上でも騒がしくなりました。議案可決後の17日に開催した私と市議会議長の高校生への直接の説明を、テレビ局が数社取材にきました。その後、民放局で連日報道された番組では、ある教育評論家が歴史に残る愚策とまで評しました。
教育論的には評論家の主張にも一定の理解はできますが、過疎に悩む地方の実情をどこまで御存じなのだろうか、と思うことでした。保育料の助成や予防ワクチン、高齢者へのタクシーチケット助成等々・・老若男女を問わず地方自治体が独自に実施している施策がいくつもあります。高校生が地元にいなくなれば、書店やスポーツ店、飲食店やスーパーなどの疲弊や地域コミュニティ活動などにも影響していきます。市民の皆様に聞いても概ね理解していただいていますし、経済的負担が大きい大学進学なので親孝行になると思う生徒もいました。今回の施策で、地元に関係ない人が論評する現代ネット社会の影響の大きさや怖さを感じました。
地方は、自らの力で疲弊していく町を蘇生させなければなりません。高校生は素直です。私と議長が直接語りかけたことに素直に反応してくれました。「母校をなんとかしなければ」と、大口高校の良さを後輩にPRすることに気づいてくれました。ここ数年、市外の私立・公立の進学校(クラス)に、成績上位者の6~8割の生徒が入学しているような状態です。この雰囲気は、生徒や保護者がまるで磁石に引きつけられているようなものです。これを私は’磁場力’と思ったのです。この状況をなんとかして、成績上位者の多くが大口高校へ入学するようにしなければならないと強く思ったのです。
思い切った施策は、時に批判の的となります。何もしなければ座して消滅を待つばかりです。批判は謙虚に受け止め、今後の改善点とします。大口高校の危機感を高校だけの問題とせず、小・中学校の保護者や先生はもちろんのこと、全市民の危機感として共有することが大事です。すでに明光学園の寮費やスクールバス支援、伊佐農林高等学校の同窓会が所有していた7haの土地購入(同窓会は教育資金として活用)など、地元の高校の活性化のために適時適所の施策を行っています。伊佐の子どもたちは、高校卒業までは”ふるさと伊佐”で暮らし、ルーツを大切にする日本人・国際人になってほしいと願っています。
今年最後(12月)の市ホームページ「市長の部屋」の挨拶は、これまでにない異色なものになりました。教育論と地方蘇生とは議論のかみ合わない点があるので、取材には事実として答えるだけの私でした。ネットや報道の心ない勝手な意見に、生徒の心は微妙に揺れます。これからの時代は、ネットや報道にひるまない精神力や、自分を信じる力もつけてあげなければなりません。奨励金だけでなく、今後は生徒自らが企画する事業についても支援していこうと思います。さっそく先月22日から三日間、市内三高の生徒18名と平田塾メンバーが、沖縄の演劇(平田大一先生演出)鑑賞と高校生同士の交流を行ってきました。
市民の皆様をはじめ、伊佐を愛し応援していただいてる皆様に私の思いをご理解いただき、ぜひともお知り合いの中学生や保護者に、伊佐市内の高校を進学先として考えるように勧めていただきたいのです。やむを得ない学科もありますが、可能な限りよろしくお願いします。
最後に、今月の市の主なイベント等をお知らせします。7日(日)は第7回伊佐市ふれあい駅伝競走大会、14日(日)は南日本ロードレース大会です。懸命に走る選手に、熱い声援をお願いします。また、14日は衆議院議員選挙も行われます。10日(水)からは年末年始交通事故防止運動と特別警戒が実施されます。あわただしい時期ですので、事故、事件には十分気をつけてください。
冒頭申し上げましたが、日々過ぎるのがとても早い師走です。正月の楽しさやゆったり感を想像しながらの師走でもあります。健康が一番と言います。風邪などにくれぐれも気をつけてください。ご家族や地域の幸せと安全をお祈りし、この一年間の皆様のご協力やご理解に心より感謝申し上げます。ありがとうございました。
凛として北の星群れ輝きぬ
木枯らしに負けぬ少年大志あり
ポインセチア二人の記憶喫茶店
鍋囲み友と語らふ忘年会
暮れいそぐ村にともる灯冬至かな
老いてなお煩悩深き除夜の鐘 -新-
- こんな時には?