“山笑ふ”伊佐の五月
2015年05月01日
新緑がまぶしい5月になりました。暦の季語では夏ですが、”山笑ふ”が一番似合うような気がします。もくもく、むくむくと木々の若葉から青葉へと、騒がしいほどの勢いを魅せています。お日様も、けっしてギラギラとした眩しさでないのが5月の特徴です。”薫風”という季語は、まさに風薫る五月の象徴でもあります。木々の間を抜けてくる風に頬を撫でられ、命の匂いを感じます。五月晴れの空を泳ぐ鯉幟は力強く、疲れることを知りません。矢車がからからと乾いた音を奏でています。若い頃詠んだ句、「矢車の音青空を引き寄せる」を思い出します。
連休中は、3日のドラゴンカップが伊佐のメインイベントとして定着しており、例年多くの参加出場をいただいています。小学生や職場への普及もあり、愛好者や初心者が広がりつつあります。2020年開催のかごしま国体のカヌースプリント会場が湯之尾に決まったことも、ドラゴンボートレースやカヌーなどの水上スポーツ競技場として、全国の注目を集めるようになりました。公式会場として必要な整備も、道路拡幅や河川堤防改修など地権者や国土交通省のご協力をいただき順調に進めています。また、同じく3日は、近くの農村環境改善センター広場や野外音楽堂で「チャリティアートトラックショー」が開催され、車両展示やアトラクションも行われます。
連休が終わり、それぞれが職場や学びの場に帰り、ひと回り成長した自分でありたいと背伸びして頑張りすぎることがあります。若者に”五月病”と言われるうつ症状が現れるのがこの時期です。入社や入学、異動などで新しいステージに挑戦している人は、慣れるのに一所懸命で、余計なことは考える余裕もなかったでしょう。連休で一気に緊張感が緩んでしまったかもしれないし、逆に自信過剰の背伸びが肉体と気持の乖離を生んでいるのかもしれません。自分の心や体に異変を感じたら、一人で悩まないで周囲の仲間に相談する勇気を持ってもらいたいと思います。私たちも周囲に悩んでいる友がいないか気をつけるようにしましょう。
農作業は、蔓を伸ばし実を膨らましていくカボチャの成長を楽しみながら、稲の種まきが始まります。稲作経営は、年々厳しさを増しているのですが、先祖から引き継いだ田畑は荒らさずに守り続けなければなりません。10年後の伊佐の農地に耕作放棄地が多くならないように、一年一年の稲作を大切にしていくことで活路を拓きたいものです。田んぼが、田植えを今か今かと待つように少しづつ変化していく一ヶ月です。そうしているうちにカボチャに花芽ができて着花し、実をつけ始めます。タバコ葉も見違えるように日に日に大きくなります。伊佐平野の田畑に命が宿り、動き始める「産業としての農業」を実感できます。
梅雨入りが、平年は今月31日となっています。異常気象と言われるのが毎年のこととなっていますので、下旬には梅雨入りの準備も必要でしょう。好調な生産牛、消費地に評価の高いカボチャとネギ、ゴボウやゴーヤ、これらと稲作を組み合わせての複合経営を進めながら、今年一挙に面積が増えた大豆栽培も考えに入れた年間計画でありたいと思います。国も、若者の就農所得支援や定着に力を入れているので、伊佐農業公社の機能向上や活動強化を積極的に推進していこうと思っています。具体的には研修生育成から航空防除、堆肥全般、大豆刈り取り等々、農家と一体となりながら行っていきます。
各団体や協議会の総会が、市内外で集中するのが今月の特徴です。各コミュニティーの総会は先月のうちにほぼ終了しましたが、主な市内の総会としては認定農業者の会、伊佐市遺族会、民生委員児童委員連絡協議会、消防後援会、伊佐地区防犯協会、タバコ販売協同組合、伊佐農業公社、農林業技術者連絡協議会、市家畜衛生協議会、伊佐市シルバー人材センター、伊佐市商工会、国民文化祭等々ほかにもいくつかあります。市外での主なものは、川内川改修期成会理事会、南九州三県県境地域医療連携懇話会、九州治水期成同盟連合会、高校再編連絡会、林業担い手育成基金理事会、県農業集落排水事業連絡協議会、県際広域バス対策協議会等々です。
10周年記念式典、姶良市市制施行5周年式典なども予定されています。ふるさと伊佐の県人会は、30日の鹿児島伊佐の会に私が出席し、31日の東海伊佐会に副市長が出席しますのでよろしくお願いします。ふるさとを語れる人は幸せだと聞いたことがあります。私は映画『男はつらいよ』が大好きです。フーテンの寅さんは「柴又帝釈天で産湯を使い・・(後略)」と口上を述べながら、必ず団子屋に一度は帰ってきます。帰る家があるから旅は楽しいのかもしれません。ゴールデンウィークは”ふるさと伊佐”でお待ちしております。
振り返らず五月の空を一年生
風薫る杜に歓声棒踊り
緑陰に我に似合わぬ哲学書
代田かく父も元気取り戻す
田の神もそろそろ雨乞い走り梅雨 -新-
- こんな時には?