歴史に学び、新しい時代へ
2015年12月31日
明けましておめでとうございます。初春を心よりお喜び申し上げます。
暖冬と言われながらも、新年が明ければ小寒・大寒と続く中で、冬本番の伊佐であることには間違いありません。’伊佐らしい’一月ですが、くれぐれも体調管理に気をつけていただき、風邪などに罹らないようにしてください。受験生も、最後の追い込みですからくれぐれもご注意ください。新納忠元公は、「二才咄格式条目」の中で”山坂達者であること”を説いています。健康の大切さ、元気の源を言っていると思います。正月に家族と誓うのは、まず健康の願いです。ふるさと伊佐市も大きな家族のようなものです。みんなで励まし合い、助け合って元気なまちにしていきましょう。
昨年を振り返れば、社会の大きな潮流として”地方消滅”や”地方創生”などの言葉が印象的に使われました。マスコミの報道や関連した本などもベストセラーになり、ことさらに大袈裟になった感じがありました。出生率から冷静に判断すれば、日本は確実に人口が減少していきます。あるデータの分析結果によりますと、冗談じゃないかと思いたいのですが、1,000年後には日本の人口は1,000人になるとも言われます。自然災害や環境汚染などを論じる時、千年や万年という単位が使われますので、今を生きている現実と未来予想とのギャップをどのように受け止めればいいのか考えてしまいます。
お寺や神社を参拝する習慣は、千年以上の歴史があると思います。日本の国は、先人達の優れた智慧やたゆまざる尽力により寺と神社が共存しています。また、戦国時代や外国からの圧力が強い時代などがあったにもかかわらず、皇室が受け継がれ今日に至っている素晴らしい国です。郡山八幡神社も1193年に菱刈重妙公が宇佐神宮から勧進し、800年以上の歴史があります。400年以上前には新納忠元公が伊佐一帯を統治していました。伊佐という名称が、祁答院あたりまでを含んでいた時代もありました。このようなことは正月だからこそ考えてみたくなるのかもしれません。
いろんな文献があると思いますが、山元泰生著・『新納忠元』(学陽書房・人物文庫)によりますと、島津四兄弟が忠元公をいかに頼りにしていたかがわかります。出水-水俣から都城-佐土原にかけての、島津領の北辺の情勢もよくわかります。忠元公は志布志に生まれ育ちましたが、12歳の時に田布施(現南さつま市金峰町)へ移り、その後は日新公や貴久公に仕え、伯父忠澄(魚穏斎)公の薫陶を受け、義久ら四兄弟とは少年時代から文武ともに修練した間柄でした。山元さんの著書名は『新納忠元』となっていますが、忠元公を通して島津四兄弟、そして続く忠恒(家久)公までを描いているように思います。伊佐や鹿児島をもっと興味深く知るためにもお薦めできる本です。
大きな歴史の流れでは、関ヶ原の屈辱を晴らすべく常在戦場の意識を持っていた薩摩藩だったと思います。伊佐には、薩摩三大関所のひとつである”小川内関所”があったことからも、住民の全てが、「いざ!」という時には結束して行動する気構えを常に持っていたと思います。山野の熊野神社に奉納されている江戸後期の古い板に、疫病を防ぐために多くの篤志家から寄付金を集めたことが書かれています。四方の山々に囲まれ、平和な暮らしの中にも常在戦場を意識した、伊佐の姿を感じとることができます。その気構えはやがて倒幕から明治維新へと、薩摩がリーダーシップを発揮する原動力になったのでしょう。
薩摩の戦国時代から明治維新までの歴史をたどれば、そこには「薩摩に暗君なし」の言葉通り、君主だけでなく豪族を含む在野まで、人材となる人がいたということになりましょう。現在、伊佐市で最も力を入れているのが、高校生や中学生が魅力ある青年へ成長するための施策です。一昨年秋に決断した大学進学者への奨励金施策などが契機となり、昨年一年間の市内三高校の生徒たちの活躍は、文化・スポーツ・交流・地方創生と、あらゆるところに目を見張るものがありました。それぞれの高校の具体的な活躍事例は今回は省略しますが、三校が合同で企画や運営をしていることが何よりも素晴らしいことでありますし、各高校の特徴ある活動や実績をお互いが評価することによって、さらに競い合う刺激となって積極性を高めています。
いつの時代でも、人材の育成は不可欠なものであると思います。2016年も引き続き人材育成に力を入れながら、地方創生の本格的な始動の年になります。市民やふるさと会の皆様、伊佐をこよなく愛してくださる方々のご意見に真摯に耳を傾け、いつも謙虚な気持ちで仕事をして参ります。市広報紙・新年のご挨拶では『借境調心』というタイトルで私の考えを申しましたので、合わせてお読みいただければ有難いと思っています。今回は、市の1月の行事については紹介しませんでしたが、3日に成人式、10日に消防出初め式、11日に菱刈剣道大会などを開催し、31日には霧島市で開催されます県地区対抗女子駅伝競走大会に、伊佐チームが出場しますので応援をよろしくお願いします。行事等につきましては、市広報紙やホームページの新着情報など参考にしていただければ幸いです。皆様のご多幸をお祈りしながら、今年のスタートとなる市ホームページ「市長の部屋」挨拶といたします。
「凛・哲・杏」孫の手温し初詣
初詣思わぬ再会同級生
初詣赤い鼻緒にすげかえて
引退も明けて初春‘♪新世界‘
夜明け前残る寒月微笑みぬ
力なき冬の陽なれど暖かき -新-
- こんな時には?