“新”の季節
2016年03月31日
日本社会のシステムは、会計年度や学校年度の考え方が定着していますので、1年の区切りを4月に始まり3月に終わります。学校の新年度の始まりも4月ということになります。今ではごく当たり前になっていますが、随時入学の江戸時代の藩校や9月入学の明治中期まではそうではありませんでした。1900年、明治33年に全ての小学校が4月入学になり、この頃から高等教育も次第に4月へ移行して、現在の年度初めの4月入学が定着したようです。今年の伊佐市内小・中学校の入学式は、6日の午前中に小学校、午後に中学校の入学式になります。医師会立准看護学校も同じ6日が入学式、市内高校は7日に予定されています。
♪April come she will When streams are ripe and swelled with rain; と歌い出される「サイモン&ガーファンクル」の”4月になれば彼女は”の歌詞です。歌の終わりでは8月に彼女と別れ、そし9月に彼女とのことを振り返っています。アメリカやヨーロッパの学校は、9月に始まり8月に終わります。秋から冬にかけては、恋も芽生えにくいのでしょう。学校にも慣れて、春が訪れる頃になると恋もしたくなる。ポール・サイモンのみずみずしい感性溢れる詩を、アート・ガーファンクルが澄んだ声で歌いました。日本とアメリカでは、学校の始まりと終わりに違いがありますが、4月になれば必ず思い出す歌です。
3月と4月ほど対象的な月はありません。先月は、別れや終わりをイメージする事が多かったのですが、今月は全てがスタートや〝新〟のイメージです。古い物事でもリセットされ、何事においても正に心機一転となります。ところが、厄介なことに“春愁”という言葉も、時折胸をよぎります。若い頃は、文学青年にありがちな繊細な感受性による特有のものだと思っていました。恐ろしいほどのスピードで進化し、効率化や競争激化に拍車がかかる現代社会では、心のバランスを失いがちになり、一年中が”春愁”のような気がします。桜の花が散る時だけの春愁にして、これからはチューリップやバラの花に元気をもらいましょう。
あの忌まわしい東日本大震災から5年が過ぎました。5年は一つの節目ではありますが、6年目を再びスタートとして、全ての国民が支援を続けなければなりません。伊佐市民からの支援物資を、公用車2台で7名の職員が南三陸町へ向かったのが、震災後3週間が過ぎた4月5日のことでした。その後、2ヵ月間にわたり7班40名の職員が交代で支援に向かいました。このことがご縁となり、翌年4月から長期支援の職員派遣を開始して現在に至っています。この4月からは、福田さんが帰庁し、交代で若宮さんを派遣しました。柏木さんと前田さんは、引き続き2年目に入ります。被災者(地)に寄り添いながら、継続することが何よりの力になるという思いで頑張っています。
私が、南三陸町に初めて訪れたのは5年前の5月28日でした。前日に古川市のビジネスホテルに宿泊し、登米市を経由して横山峠を下りはじめた河川沿いの立木に、魚網や浮玉が引っ掛かっているのを見た時の衝撃は、今でも忘れることはありません。こんなところまで津波が押し寄せたという事が信じられなかった。職員を派遣していることもあり、毎年南三陸町を訪れています。佐藤南三陸町長も、毎年九州の派遣元の自治体を訪問されており、伊佐市では必ず宿泊されて職員を交えて交流・懇親を深めておられます。昨年は、災害時相互応援協定も結ぶことができました。
毎年、南三陸町を訪問することで、変わりゆく復興の様子を知ることになりました。無残な町の姿が焼きついた1年目、ガレキがほぼ片付いた2年目、3年目・4年目と更地が広がり、5年目には盛り土の区画が出来上がっていきました。その間に、高台移転計画が策定され、やがて移転が始まり、サンサンランド商店街の頑張りや旧防災庁舎保存の議論を県が預かることで落ち着いたり、復興途上の様子を定点観測しているような訪問になっています。今月の21日に南三陸町を訪問します。国民に復興のための増税までお願いしているのですから、人材確保の支援は自治体同士が助け合うのが当然のことという思いを職員と共有し、今後も職員を派遣し続けていきたいと思っています。
今月の私の出張は、17日の関西鹿児島ファンデ―に大阪京セラドームへ行く予定があります。3万人ほどの来場が見込まれる鹿児島県人会の大イベントです。鹿児島県43市町村のほとんどの首長がステージに揃います。稲盛会長のお陰で、このような大イベントが開催されることに、心から感謝しています。多くの著書や講演、報道などで知っているつもりになっていますが、直接お会いして会話を交わすことで大きなオーラをいつも感じます。県人会、ふるさと会の皆さんにお会いできることを楽しみにしています。
今年は、忠元公園の桜の開花が遅れていま
すので、今月上旬が見頃になります。2日の伊佐市弓道場での弓道大会、3日の総合体育館で行われる剣道大会、いずれも終了後は忠元公園や曽木の滝の桜をお楽しみいただきたいと思います。29日に忠元さくらカップバレーボール大会も、大口明光学園をはじめ市内の各中学校や体育館を利用して開催されます。本格的なスポーツのシーズンに入って行きます。新年度はスポーツも動き出しますが、住民自治としても各地域のコミュニティーや自治会への行政説明会を行ってまいります。市民の皆様のご協力をいただきながらスタートしたいと思います。尚、4月号の市報に「施政方針」を全文掲載しておりますのでお読みいただきたいと思います。
凛として背中にピンクのランドセル
新しき顔に名前に出会う春
広き部屋子等は旅立ち花の雨
花の雨昔の手紙読んでみる
過ぎ去りし日々がセピアに霞む春
ふるさとは桜吹雪の風の中 ー新ー
- こんな時には?