震災被災地への想い
2016年04月28日
薫風に吹かれて、青空を気持良く泳ぐ鯉のぼりが印象的な5月です。日本には、昔から男の子と女の子を祝う行事がありますが、代表的なものが3月の雛祭りと今月の端午の節句です。私も、鯉のぼりや兜の似合う可愛い孫と二人の孫娘が熊本にいます。7歳、4歳、2歳の可愛い孫達ですが、先月の熊本震災の影響を受けながら暮らしています。車中で眠る夜もあったようです。余震にすぐさま反応する恐怖心がトラウマになりそうでしたので、地震直後の3日間ほどは湯之尾温泉に滞在して、一時の安息を取り熊本へと帰って行きました。
伊佐市の職員は、震災直後から給水活動や建物危険度調査、避難所物資の仕分け等の被災地支援に行っています。伊佐市内の病院も、患者さんを多数受け入れていただいています。苦しく、辛い避難生活が続く被災者の皆様のお役に立てるように、熊本県や鹿児島県と連携を密にして、伊佐市は今後も被災地(者)を支援してまいります。東日本大震災による大津波の被災地となった、宮城県南三陸町への職員派遣も5年目になります。「困った時はお互い様」の気持ちで支援を続けてきました。南三陸町と同様に熊本地震の被災地支援は、隣県であり県境を接する伊佐市には、「お互い様」の助け合いを果たさなければならない”責務”があるとさえ考えています。余震が沈静化し、迅速な復旧により被災者の皆様の日常が一日でも早く戻るように心から願っています。
伊佐地方における地震の記憶としては、昭和43年(1968年)2月21日の「えびの地震」と、平成9年(1997年)3月と5月の「鹿児島県北西部地震」の二つがあります。昭和43年のえびの地震は、60歳以上の方は鮮明に覚えておられることと思います。当時、幼い子どもや小・中学生であった方は、怖かった記憶として残っているのではないでしょうか。私は高校を卒業する年であり、母や祖母が頭に被る”頭巾”を用意してくれたことを覚えています。記録によると、被害が大きかったえびの市真幸地区と湧水町吉松地区で、M(マグニチュード 以下同じ)6.1、震度6、3月25日までに震度5以上が5回観測されています。死者3名、負傷者44名、全壊498戸、半壊1,278戸の他、鉄道や道路なども分断されるなどの被害が発生しました。
平成9年の「鹿児島県北西部地震」は、3月26日に発生した地震がM6.6、さつま町宮之城で震度5強(大口4)、5月13日発生の地震がM6.4、薩摩川内市で震度6弱と記録されています。重傷者数名を含めて負傷者が80名弱で、旧宮之城高校の校舎の亀裂や一部崩壊などがニュースになったことを覚えています。大口でも、墓石が一定の列で倒れた墓地が報告されました。私は、その当時大口市長として2年目で、会議中の庁舎2階の部屋から、電線が大きく揺れるのを見ていた記憶は今でも鮮明です。伊佐地方は大きな活断層は存在しないとされていますが、現在建設中の汚泥再生処理センターの立地場所を検討する際に市内5か所の地質調査を実施し、その結果、地質の耐震強度に若干の差異が見られたことなどを考えると地震への警戒は常にしておかなければなりません。
今月は新緑も眩しく、”風薫る伊佐”らしい雰囲気をお伝えしようと思いましたが、冒頭から地震についてお話しすることになりました。それほど、今回の熊本地震は伊佐市にも大きな影響があり、特に人の流れや物流が縮小することを懸念しています。ここ数年、都会からの中・高校生のグリーンツーリズムと銘打った修学旅行が盛んになりました。伊佐市におけるグリーンツーリズムの中・高校生利用者数は年々増加しており、昨年は700名を超えています。農家民泊や農業体験、湯之尾河畔でのドラゴンボートレースやカヌー体験で盛り上がり、夜はピザ窯に薪を燃やして語らいながら、都会では体験できない”伊佐”を楽しんでいただいています。伊佐の人々と中・高校生との交流も実のあるものになってきています。
このように実りつつある人々の交流が縮小することや、農産物などの物流も少なからず影響があるのではないかと心配します。白ネギの有利販売のために、大阪や名古屋の市場へ大型トラックで輸送しており、また、白ネギを専業とする農業法人も、独自に開拓した福岡のお客様に定時・定質・定量を届けて販路を広げてきました。ネギだけでなくお米もカボチャも流通が滞ることにより、積み上げてきた実績が崩壊してしまう恐れを抱いています。子牛の市場も県外からの購買者の積極的な購買意欲もあり、ここまで高価格を維持しています。子牛の生産は、若手後継者を含めて向上心が旺盛になっていますので、ここでしぼむことがないようにお互い励まし合っていきたいと思います。
5月に予定されている行事などについて紹介します。GWの1日は、湯之尾河川敷で名物イベントの「いさドラゴンカップ2016」が開催されます。約80チームもの出場で終日賑わいます。4日には菱刈農村公園で「アートトラック」の紹介やチャリティ・アトラクションがあります。電飾やペインティングされたトラックは、まるで芸術品のようです。5日の郡山八幡神社春季大祭では、伝統の棒踊りが昼前に奉納されます。先月26日から針持青少年センターに展示されている「端午の節句飾り」は、8日の最終日まで午前10時から午後3時までどなたでも見ることができます。校区コミュニティのいきいきとした活動を感じてください。連休中以外では、22日に西南の役供養祭が高熊山頂にて催されます。かつてはご遺族の皆様が主催されていましたが、ご高齢になるにしたがいご苦労なさることが多くなられ、数年前から立正佼成会川内教会大口支部の皆様によりご供養していただいています。
5月は総会の時期でもあります。28日は、私が鹿児島市のパレスイン鹿児島で開催されます鹿児島伊佐会総会に出席します。副市長には同日名古屋で開催されます東海伊佐会に出席してもらいます。伊佐市内では、いろんな分野の総会が目白押しです。伊佐市PTA連絡協議会、伊佐市遺族会、川内川上流漁業協同組合、伊佐市体育協会、伊佐市青年団連絡協議会、伊佐市老人クラブ連合会、伊佐地区防犯協会、伊佐市商工会、県猟友会伊佐支部、伊佐市シルバー人材センター、伊佐市南海郡交流協会等々・・他にもまだまだありますが、各団体とも総会をスタートに実質的な新年度の活動が始まります。
今月の後半には、早い梅雨入りも予想されます。種まきに始まり、田んぼは田植えの準備となります。大規模な作付けを行う農家は、すでに植え付けも始まりました。雨期も近付いてきますので、31日は文化会館小ホールに関係機関の方々にお集まりいただき、伊佐市防災会議を開催します。平成18年豪雨災害から10年が過ぎました。「災害は忘れたころにやってくる」とも言われます。自らが備えをしっかりして、危険を事前に予測して避難することが重要です。熊本地震の被災地の一日も早い復旧と、被災者の心労が少しでも癒えますことを心よりお祈りしながら今月のご挨拶とします。
逆境を力に変えて山笑ふ
新緑の輝きの如ボランティア
安堵して眠る緑陰子らの顔
被災地に山藤淡く咲いており
水田張る明日は田植えの日となれり ー新ー
- こんな時には?