秋の色
2016年10月01日
秋に最も相応しい色は何だろうかと考えながら、短歌や俳句で詠まれる風情を思えば、’白’のイメージが浮かんできます。温暖化の影響で汗ばむ日が多いですが、体育祭などでグランドいっぱいに躍動する白いユニフォーム姿は爽やかな秋の風情そのものです。伊佐市の市民体育祭は9日(日曜日)に行われます。伊佐市陸上競技場の会場は各コミュニティの応援のカラフルな旗が揺れ、幼児から青少年、障がい者や高齢者のいきいきと輝く姿があります。昨年から伊佐市に3校ある高校生が企画や運営に参加しています。高校の魅力化を図り、若い力を市民へも広げていこうと思います。
体育祭のユニフォームのイメージで白を秋の色としましたが、中国の陰陽五行で「白」が秋の色とされているそうです。先月行われた小・中・高校の体育祭でも白いユニフォームが躍動していました。二十四節気の’白露’も先月8日でした。8月初旬の立秋に始まり、今月の寒露・霜降までが秋ということになりましょう。温暖化が進む現在とはだいぶ違いますが、気持だけは秋の風情でいたいと思うのです。スケッチブックの白さや、コスモスやススキの風に揺れる様を見るたびに、秋に相応しい色は白色だと思うのです。
ところが伊佐に関して申し上げれば、秋の色は白ではなく黄金色です。ご想像のとおり、先月から伊佐米が色づきはじめ、今月の伊佐平野はまるで黄金のジパングと呼べるような見事な実りです。伊佐の稲刈りが本格化するのは今月に入ってからです。市民体育祭が終わればいっきに進み、ほぼ今月中には終わります。遅い品種の稲は来月に刈取りをし、最後に飼料米の刈取りとなります。伊佐の自然の美しさとして代表されるのが、伊佐平野一面に広がる黄金色の田園風景です。7月下旬から旧盆まであたりの、吹く風にさざ波ができるような青々とした田園風景と並び称されます。
江戸時代島津藩にとって伊佐は食糧基地だったと思います。最初からこのような田園が広がっていたわけではなく、洪水のたびに流れが変わり、蛇行する川内川ではありましたが、氾濫を繰り返しながら豊富なミネラルを含む山の土を伊佐平野に運んだのでしょう。加藤清正に睨みを利かす要衝としての木ノ氏地区も、新納忠元公自らが鍬を取り開墾して、現在の原型を作られたと忠元史にはあります。川内川の恩恵と原野の開墾により米の栽培に適した土地となり、島津藩にとっては小川内の関所に代表される北の守りと食糧基地の両面から、優秀な人材を定住させたのではないかと想像します。
海音寺潮五郎氏の伊佐を舞台にした小説「二本の銀杏」の主人公 ‘源昌房’はまさにその人と言えるでしょう。大きな二つの事業のために、調所笑左衛門を説得して藩から多額の借金をします。米の増産のために水路と田んぼの整備をすることが一つ、もう一つは宮之城にある米倉を上流の曽木の滝に移すために川内川を掘削する大事業です。借金は増産と米倉周辺活性化の利益で返すというものでした。小説ではありますが、モデルになる凄い事業家がいたと言われます。伊佐の見事に実った黄金色の田園風景を見ながら、200年ぐらい前の物語に思いを馳せています。雄木と雌木の二本の銀杏がこの小説のポイントです。
さて、今月のイベント等については体育大会のことだけを紹介しましたので、他にもいろんなイベントや活動がありますのでご紹介します。
来月の13日公示、20日に市長選挙と市議会議員の選挙がありますので、平成27年度決算の審議を先月開会した9月議会で行うことになっています。17日が最終本会議となります。選挙説明会も今月11日に行われますので、候補者の顔ぶれがほぼわかるのではないでしょうか。伊佐市になりまして三回目の選挙になります。
市外での活動としては、4日に池畑県議会議長と一緒に三反園知事に会い、伊佐市に特別支援学校の設立の要望を行います。翌日5日・6日は東京出張で、13日・14日は大牟田市で九州市長会が開催されますので出席します。19日に鹿児島市のホテルウェルビューで畜産研修会です。これは昨年のオーストラリア研修の成果として、現地の流通と牧場の経営者お二人をお招きして、鹿児島県の流通を含む畜産関係者が一堂に会して研修するものです。27日・28日に愛媛県内子町へ法政大学関連の出張をします。愛媛坊ちゃん空港で曽我部先生に少しの時間ですがお会いできるのが楽しみです。堆肥センターを作る時に消臭効果のある’えひめAI’でとてもお世話になった恩人です。
最後に30日の伊佐市社会福祉大会について紹介します。伊佐市がスタートして毎年この時期に開催しています。住みやすいまちづくり、安心して安全に暮らせるまちづくりをモットーに、福祉関係者への感謝・表彰や福祉について理解を深める青少年の作文・画コンクール、90分間の講演も毎年好評です。昨年は前南九州病院長・現南風病院長の福永秀敏先生でした。今年は鹿児島マジシャン協会長の大迫先生です。大口中学校OBでもありますが、曽木小学校にも教頭先生として勤務しておられました。伊佐市内には同級生や知人・友人も多く、喜んで講師を引き受けていただきました。ふれあいセンターで午前中開催です。どなたでもご参加自由ですのでお待ちしています。
「白」色が秋の色と申しながら、「黄金色」を伊佐のイメージカラーと紹介しました。マジックを使えば焼酎の「黒」や黒豚、黒毛和牛にもなるでしょう。味覚の秋に相応しい美味しい焼酎も伊佐の魅力です。伊佐大泉、伊佐美、伊佐錦と鹿児島を代表する焼酎です。大いに新酒をお楽しみください。今月22日開催される北九州伊佐会、29日の関東伊佐会、30日の関西伊佐の会は副市長が出席いたしますので、焼酎を酌み交わしながらふるさとへ思いを馳せていただきたいと思います。
自転車のペダルも軽るき秋の空
頬撫でる風は友達秋の空
受け継げし美田の実り黄金色
稲刈りを終えて家路に茜雲
夕焼けの向こうはふるさと♪新世界
七つ星♪いい日旅立ち秋桜 -新-
- こんな時には?