伊佐の文化
2016年10月31日
11月は銀杏や紅葉の色づく伊佐に最も相応しい月ではないかと思います。曽木の滝のもみじ祭りを伊佐の代表的な祭りと評する人もいます。今年の祭りは27日の日曜日に開催されます。20日から23日の勤労感謝祝の日、そして27日の本番へ向けて多くの観光客で賑わうでしょう。日曜日や祝日を避けてご来訪いただくのも良いかと思います。銀杏や紅葉の舞散る中をゆっくりと散策なさるのも一興かと思います。23日は湯之尾神社の神舞も奉納されますので、早い日暮れに松明の篝火が印象的な舞台を演出してくれます。もみじ祭りと同じ27日になりますが、大口ふれあいセンターでは第39回海潮忌・文学フェスティバルが開催されます。
海音寺潮五郎氏は伊佐市大口出身の直木賞作家です。ご命日が12月1日ですので、今月の27日に海潮忌を執り行い、短歌とエッセイの優秀作品を選び、選者による鼎談をしていただきます。小中学生の感想画や感想文の表彰もおこないます。先生は「西郷隆盛」が未完のままの最後の作品となる昭和52年(1977年)まで、数多くの史伝小説をお書きになりました。昭和11年に「天正女合戦」「武道伝来記」の二作品により第三回直木賞を受賞なさいました。紫綬褒章、文化功労者、更には、日本藝術院賞という最高の名誉に輝いておられます。ふるさとを舞台にした「二本の銀杏」は先月も紹介しましたが私の最も好きな作品のひとつです。
「村は薩摩の北端にあった。肥後に境を接していた。山また山にかこまれた小さな盆地だ。海には一番近い道を行っても八里あった。」
このような書き出しで始まる上下巻の大作です。物語の表は川内川の掘削、裏は源昌房とお国さんのからみとなっています。米蔵を宮之城から曽木へ移すために、船が通れるように川内川を掘削するという源昌房の大風呂敷を批判する福崎乗之助とのやり取り、島津藩家老調所笑左衛門から多額の借金をするくだり、宮之城武士から命を狙われるなど迫力いっぱいに書かれています。「二本の銀杏」のタイトルは、銀杏の木は雄木と雌木があることに由来しています。北郷家が雄木で、上山家が雌木ということになります。史伝作家と言われる海音寺先生の作品では異色かもしれません。
伊佐平野の収穫も終わり、新米を振る舞いながら豊作に感謝する”伊佐ふるさとまつり”が菱刈農村公園で12日(土)・13日(日)に開催されます。例年多くのお客様で賑わいます。交通の利便性から熊本県・宮崎県からもお越しになりますし、鹿児島県では伊佐のお米の美味しさを知らない県民はいませんので、県内各地から秋の行楽を兼ねてお越しになります。前日の11日は伊佐錦杯パークゴルフ大会や伊佐農林高校の文化祭もありますので、この週末も伊佐の秋を満喫できるでしょう。
3日の市文化協会主催の文化祭から27日の海潮忌・文学フェスティバルまでの間には、6日の羽月西校区文化祭&黒豚祭り、羽月校区の文化祭と駅伝大会、大口東校区の星ヶ峯祭と駅伝大会、8日に小・中学校の音楽発表会、10日の大口高校での地方創生に関する講演会、11日の伊佐農林高校の文化祭、13日に平出水校区の文化祭と駅伝大会、針持校区の文化祭、26日の西之表市・喜界町姉妹都市交流会など数多くの催しがあります。
地方創生は青少年の可能性を引き出すきっかけになると思っています。様々な活動を通して可能性へ挑戦してほしい。曽木の滝もみじ祭りも昨年から高校生が運営に参加していますし、湯之尾”神舞”は湯之尾小の児童や教諭も舞のメンバーです。3日の市文化祭の舞台ラストの演目は、現代版組踊を舞う地元中高生”チーム・ちむどん”です。先月の青少年健全育成大会で魅せた彼らの迫力ある舞台を見逃さないでください!!
伊佐市は平成20年11月にスタートしましたので、29日で市長も市議会議員も任期が終わります。したがって事前に選挙が行われなければなりません。選挙の告示が13日、選挙が20日、即日開票となります。市民の皆様の審判を受けることになります。秋の華やかな雰囲気がしばらく中断しますが、この週以外は深まりゆく伊佐の秋を心ゆくまでご堪能いただきたいと思います。選挙の関係で副市長が私の代理で県外出張するケースが増えます。私は9・10日の東京での鹿児島県企業立地懇話会と26日の熊本伊佐会への出張を予定しています。
11月は霜月と言われるように暦の上では冬になります。7日が立冬、22日が小雪です。冬と言えば今年1月の大雪と最低気温-15.2℃を思い出します。歳時記の冬の始まりが今月であることを思えば、一番寒い1月のことを予想して、まだまださほど寒さを感じない今月のうちに、冬の準備や用意をしておくのも生活の知恵ではないでしょうか。文化・芸術、スポーツ、感謝祭、銀杏・紅葉など心ゆくまで伊佐をお楽しみください。
トンネルを抜けて明るき照る紅葉
滝つぼの渦に消えいく紅葉かな
大木となりて銀杏風に散る
銀杏散る風に激しく海潮忌
夕暮れの日に日に早き縄のれん
「大番」に灯りお湯割り馴染み客 -新鶏ー
- こんな時には?