「夢」に向かって
2017年02月27日
弥生・3月という響きに気持ちが感傷的になるのは私だけではありません。俳句では2月から4月までが春の季語になりますが、沖縄から北海道までの縦に長い日本列島なので一様にはいきません。しかし、人々の暮らしは全国どこに住んでいても、卒業という人生の節目をこの3月に迎えます。皆さんはいつの卒業式が一番印象深いでしょうか。大きな人生の岐路になった卒業が一番だったり、好きな人との別れの卒業が最も懐かしいかもしれません。振り返ると卒業後一度も会えていない友もいます。なごり雪と早春の桜が私たちを感傷的にしてくれるのかもしれません。
卒業式は大口高校、伊佐農林高校が1日、私は伊佐農林高校の卒業式で祝辞を述べます。進学や就職は私たちがそうであったように、彼らの人生の岐路と言ってもいいでしょう。3日の伊佐医師会立准看護学校の卒業式でも祝辞を述べます。40歳代でも資格取得でき、伊佐市や湧水町やさつま町で働くこともできます。この地域の病院や介護施設は熱い思いで受け入れに積極的です。都市部では施設数と入所希望者数のアンバランスは大きなものがあります。東京や大阪へ出張して伊佐へ帰る度に思うのは、老後を地方で過ごすことができる人は幸せだということです。
私は、18歳まで伊佐で暮らしていた頃は、都会へ早く出ていこうかと思っていました。きらびやかな都会に憧れたわけではなかったが、何か夢があるような漠然とした憧れだったのでしょう。現在のような情報を瞬時に得ることのできる時代ではなかったのが幸いしたかもしれません。私と弟の二人が同時期に京都で学生でした。両親は仕送りに大変だったろうと後になって判ったしだいです。その後二人とも伊佐に帰り現在に至っています。高校の卒業式の度に人生を振り返ると、贈る言葉はやはり『夢』になってしまいます。未来を信じて『夢』に向かって歩き始めてほしいです。
3日は明光学園高校の卒業式でもありますが、強烈な記憶として残る卒業式は東日本大震災の起きた2011年でした。その年は、3日の卒業式で愛情あふれるお別れの言葉を贈られたシスターの校長先生が、6日に心不全で急死され、11日に大地震が起きました。起こるべく大震災の犠牲者をキリスト様のもとでお迎えするミッションを、神が校長先生に授けなされたということを後日教会でお聞きしました。にわかには信じられないお話でしたが、時が経つとともにそういうこともありえるかなと思うようになった卒業式です。高校三校と准看護学校の卒業式の頃は寒の戻り日が多いのも伊佐の別れに似合ってるかもしれません。
大口中央中学校と菱刈中学校が14日、明光学園中学校が16日です。小学校は市内各校とも23日に行われます。私が出席する小学校以外は、副市長や各課長がそれぞれに私の祝辞を代読してお祝の気持を伝えさせていただきます。この頃になりますと桜の花も話題になり始めるので、別れの寂しさばかりでなく、成長の喜びとさらなる期待が気持を明るくしてくれます。小学校から中学校へはほぼ地元へ進学します。中学から高校へも工業系を除けば地元の3高校への進学を勧めています。
弥生・3月は季語によれば春のど真ん中でもありますので、各校区のウォーキング大会や春のイベントを各所に見ることができます。ウォーキング大会を二つほど紹介します。12日の第10回秀吉の道「ウォークin針持」(針持青少年センター)、19日第20回「ウォークin田中」(田中ふるさと館)でそれぞれ行われます。針持青少年センターでは先月26日からのひな祭りの飾りも、ウォーキング大会当日まで展示されていますのでお楽しみください。「伊佐のひな祭り福かざり」は第7回目となり、大口・菱刈の商店街で先月26日から12日まで楽しむことができます。女性部のすばらしい作品をご観覧ください。
大口商店街の春の市は11・12日(土日)に賑やかに開催されます。土曜日は同時に緑の少年団の募金活動も街頭で行いますので、激励とご協力をいただければありがたいと思います。同じく12日は本城おきな草春まつりも本城小学校体育館を起点に開催されます。春を呼ぶとても魅力的な雰囲気をお楽しみいただけます。12日に多くの催しが集中しますが、音楽関係も二つほど開催されます。文化会館で大口明光学園のスプリングコンサートが午後2時開演、ふれあいセンターで(主催)大口ロータリークラブ・(共催)国際ソロプチミスト大口伊佐の被災地支援第6回チャリティー音楽祭が13時開演です。なお前後しますが、4日文化会館でいさのおんがくたいプレゼンツ「おんがくのたねまきコンサート」が14時に開演されます。中高生で構成する’ちむどん’の卒業公演が文化会館で25日18時半開演予定です。伊佐の若いエネルギーを感じてください。
最後に三つの記念式典についてお知らせします。シルバー人材センター設立20周年記念事業式典がふれあいセンターで5日に予定され、19日にはふれあいセンターで’たんぽぽ’創立20周年記念式典を予定しています。積み重ねてきた20年間でした。三反園知事へ〝語る会〟でご要望した特別支援校の誘致をさらに進めていく力にしたいと思います。20日にはしばらく休校にしていた羽月北小学校の閉校式を関係者・地元の皆様一同で執り行います。今後も地域の拠点としてコミュニティ活動が行われます。3月はお別れの季節でもありますが、ひとつの別れは新しい明日への一歩でもあります。遠い自分の過去を振り返りながら、現在も別れや出会いを繰り返す人生の妙・不思議さを思う弥生・3月です。皆様のご多幸とご健勝を心よりお祈り申し上げます。
受け継ぎし孫と一緒に飾る雛
鶯の囀りいつしか大人びて
愛と知る師の眼差しを卒業す
春彼岸父の遺影の若きこと
人知れず遠くかすみて山桜
草青む小川に春の光さす -新鶏ー
- こんな時には?