田植え
2017年06月01日
夜明けが一番早い月になりました。3時半には新聞受けに二つの朝刊が届き、4時に起床して新聞を取りに外に出ます。夜明け前の僅かな薄闇の東の空に明けの明星が輝いています。日の出が5時過ぎなので、しばらくすると金星以外の星は見えなくなります。田舎のすばらしさは冷涼な朝の空気の中で深く深呼吸できることです。やがて太陽が昇り始めると、ウォーキング中の額にも汗がにじむようになります。エネルギーに満ちた一日が始まります。田植えを終えた田んぼに風景を逆映しにしてくれる朝日の輝きには、まるで自然の絵画のような美しさがあります。
芒種が5日、夏至が21日です。田植えすることがすなわち芒種ということだそうで、昼の時間が一番長くなる夏至の前後2週間が本来の田植え期間だそうです。長い時間働けるように神様が形作られたのかもしれません。全国的にはすでに田植えの終わっているところが多いようですが、温暖な南九州は稲の成長も早いことから、暦のとおりにこの6月が田植えのシーズンになります。今の稲作は二百十日や二百二十日の台風を避けるために、品種改良や栽培技術の進歩で収穫までの期間が一ヶ月ぐらい早くなっています。この時期は田んぼを耕作される農家の方々にとって大型機械による作業ですが一時的長時間労働ということになります。
私の友人には一人で10ha田植えをする農家や、親子四人で50haの田植えをする農家もいます。大型田植え機で数回往復しながらまたたく間に植えてしまいますが、植え付けに至るまでの作業の段取りがいくつもあります。まず播種は2000を超える数の苗箱に種籾を蒔き、毎日水かけをしながら成長させます。一方では畦草払い、田んぼの天地返し作業から細かい土になるまで耕し、水を張ってさらに代田にまで仕上げます。ここまで準備してから田植えですが、管理する面積が広いので作業が偏らないように同時並行に進めるため、この時期は高齢者のお手伝いの出番が多くなるようです。
中山間地域(農水省用語)の高齢者がこの時期に比較的元気なのは、田植えに至る一連の仕事があるからかもしれません。この6月はグラウンドゴルフ場に集まる人もいつもより少なくなりますし、パチンコ店の駐車場の車もいつものように多くはありません。本来人間は自分の出番があることで気持が前向きになります。ましてや労働ともなれば、家族や友人のために役立つことを実感します。命が宿っている農産物の中でも、お米になるまでの過程には作る人たちの物語があります。そのスタートが伊佐では今月だろうと思います。秋に美味しい伊佐米を皆様にお届けするために、老いも若きも元気に忙しい伊佐平野です。
伊佐平野の田植えの広がりに高揚感を覚えながら、私と副市長は6月議会での議論と出張の繰り返しが続きます。まず私のスケジュールは、6日・7日に東京で全国市長会と第13回水害サミットに出席します。大口高校東京同窓会が10日、大口高校関西同窓会が17日、治山林道協会理事会と総会が鹿児島市で14日と28日で、その他30日に肥薩線協議会総会が人吉市で行われます。副市長はまず7日に人吉市でおこなわれる南九州3県県境地域医療連携懇話会に出席し、9日から11日までは姉妹都市である韓国南海郡の「第12回宝島ニンニク祭り&韓牛祭り」に参加します。私の出張が続くので、16日の伊佐地区なかよし運動会や、17日の日本フードパッカー鹿児島(株)畜魂慰霊法要にも出席してもらいます。
紫陽花が魅力的な季節でもあります。真夏日から一転して雨を待ちわびたのは紫陽花でしょう。毎年この時期になると思い出すことがあります。紫陽花と言えば私には唐津市相知町にお住まいの思い出深い友人ご家族がいます。旧大口市時代に曽木の滝と見帰りの滝(伊岐佐川)の交流で知り合いました。見帰りの滝は紫陽花が綺麗なことで有名な滝で、記念にと幾種類かの紫陽花をいただき自宅の庭に挿し木した紫陽花が、今では思い出の記念樹となりました。先月唐津市に出張の機会がありましたので、ご家族に短時間ではありましたがお会いできて旧交を温めることでした。見事な家庭菜園をご家族で楽しんでおられました。
今月も先月後半からの県外への出張が続きます。議会も重なりますので何かと代理をお願いする会合やイベントも多くなります。よろしくご理解いただきたいと思います。伊佐の田園風景は田植えとともに変化していきます。頼りなき早苗がやがてしっかりと根付いていきます。秋の収穫を楽しみにすればこその田
植えです。農地や自然を大切にすることは伊佐に住む私たちの大切な役割です。同窓会やふるさと会の皆さんへ残すべき宝ものでもあると思っています。
誘われて蛍見る宵暮れにけり
蛍舟川面に映る光かな
口ずさむ懐メロ父の田植え唄
伊佐富士を逆さ写しの水田かな
大合唱蛙の中に指揮者おり
傘がない梅雨と知りつつ旅に出る -新鶏-
- こんな時には?