「巡る時間」
2019年08月01日
8月の印象としては夏休みの真っただ中にいるイメージが強いです。1年というスパンで考えると、年末まで5ヶ月しかないということになります。特に盆の送り火を済ませた後は、時間の流れの速さに誰もが気づくと思います。8月に大晦日や正月の話をするなんて場違いと思われるかもしれませんが、お正月とお盆で一区切りをすることにより、社会が成り立っていたのではないかと思うのです。現代は働き方改革という言葉をよく耳にしますが、昭和初期までは正月とお盆が働く者にとってまとまった休みだったのです。
時代劇などに出てくる年季奉公という雇用の形態が社会通念としてありました。まとまった休みとしては年に二回、お正月とお盆にお休みをもらって実家やふるさとへ帰る風習がありました。明治になり、外国の文化が入ってからも長く続いてきた慣習はそう簡単には変るものでもなく、昭和初期まで残っていたと思います。テレビドラマ「おしん」の中でもそのことはわかります。現代では五月のゴールデンウィークがあり、九月にはシルバーウィークもありますので、遠くで暮らしていても計画的に実家やふるさとへ帰ることができるようになりました。
人にとって時間に関する感覚は二つあると思います。進む時間と巡る時間の二つです。一年進むごとに年齢を重ね、数年後や数十年後には大人になった自分に気づきます。一方、お正月やお盆は毎年巡ってきますので、過去と現在が同じ時空にあるような気持ちになります。それは昨年と今年は違うのですから錯覚に過ぎないと思いますが、来年もまた同じようなことを感じるだろうという気持ちがあるので、進む時間ではなく巡る時間になるのでしょう。成長のためには進む時間が必要です。同時に豊かな人間性を持ち続けるためには、巡る時間も必要ではないかと私は思っています。
巡る時間を演出してくれるのが祭りです。日本を代表する祭りとして先月行われた京都の祇園祭や福岡の博多祇園山笠を見るにつけ、今年もその時間が巡ってきたと思わずにはいられません。過去・現在・未来の時間がひとつとなって巡るような気持になります。特に京都は高校を卒業して上洛し、学生時代とホテルマンとしての仕事で10年間住んでいたので、祇園祭と今月16日の五山の送り火には特別な想いがあったのですが、市長として働き始めてからは郡山八幡神社が巡る時間の中心になっています。
私たち市民が身近に楽しめる祭りとして各校区コミュニティの夏祭りがお盆前後にあります。各校区コミュニティの配慮で日程が重ならないように計画されています。それぞれの校区の夏祭りをお楽しみいただけますので、是非ご参加ください。4日の日曜日に羽月北校区(旧羽月北小学校)、10日の土曜日に羽月校区(羽月小学校)、11日が針持校区(針持小学校)、13日に平出水校区(平出水小学校)、14日に山野校区(旧山野中学校)、15日に田中校区(田中ふるさと館)、16日に羽月西校区(羽月西小学校)、17日は二か所で行われ、牛尾校区(牛尾小学校)と曾木校区(西太良コミュニティセンター)です。夏休みを利用して帰省される方々は多いと思いますので、巡る時間をお楽しみいただきたいと思います。
今月は2日から6日まで全国高校総体カヌー競技が伊佐カヌー場で開催されます。来年は鹿児島国体のカヌー競技スプリント種目がこの会場で行われます。高校総体や国体の正式競技のみならず、今後は水辺のスポーツやレクレーションのメッカとなるポテンシャルのあるカヌー競技場です。15日は戦没者追悼式を文化会館で行います。戦没者の御霊に永久の安らぎをお祈りしたいと思います。ナイター陸上大会が陸上競技場で17日の土曜日に行われる予定ですし、同じく17日午後からは文化会館で‘いさのおんがくたい’の演奏会もあります。毎年8月に開催される大口高校同窓会総会は23日にグリーンホテルで予定されています。女性のがん検診は4日から7日までがこころ館、18日から22日までがまごし館です。早期発見にまさる健康管理はありませんので、自分のこととして検診を受けてください。
最後に私の今月の出張などの予定をお知らせします。1日に川内川上流期成会による中央要望で上京します。JA北さつまと合同で野菜のトップセールスを中部・関西方面へ7日から9日まで行います。姉妹都市西之表市の種子島鉄砲まつりに出かけるのが24日から26日を予定しています。ほかにも日帰り出張などいくつかありますが、夏バテしないように頑張りたいと思います。皆様もせっかくの夏休みですので思い出に残る8月をお過ごしください。時が巡るのを感じるお盆を中心に、人生の思い出に浸るのも8月ならではのことです。ご先祖や日頃お世話になっている皆様へ心から感謝したいと思います。
心地良き風に青田の揺れており
夕立に鼻緒を濡らす女坂
浴衣帯緩く宵待つ灯りかな
待ち人は遠き旅空黄菅咲く
ご先祖も輪の中しばし盆踊り
送り火の遠き青春逝きし夏
神巡る一日一生蝉の声
-新鶏-
- こんな時には?