「旅立ちの春」
2020年03月01日
今年は一時的に寒い日もありましたが、平均的には暖かな冬でした。私の住む大口山野でも例年の冬は最低気温がマイナス6~7℃になりますが、今年はマイナス5℃の朝が2~3日あった程度でした。梅の花の開花が早かったことも暖かな冬の現れでしょう。梅の開花が早ければ鶯の声も早くから聞こえていました。季節は梅から桃の花に引き継がれ、凛とした梅の花から桃の節句の彩りへと華やかさを楽しめるようになりました。桃の花からは優しさや成長していく乙女の姿が感じ取れます。やがて桃の花から桜の開花へと気持ちは動いていくと思います。暖冬は桜の開花を遅らせるともいわれていますが、はたして今年の開花や満開はいつ頃になるか楽しみです。
伊佐市の忠元公園は千本桜で有名ですが、市内には思いがけないところに桜の見どころが多いのです。国道268号線を湧水町の方から伊佐市に向かって進みますと、旧湯之尾駅跡付近の国道沿いの桜並木が迎えてくれます。ふれあいセンター通りは、ウォーキングを行う人や通勤通学で行き交う人々が開花から満開、そして花吹雪のように散る様相を楽しむ場所となっています。曾木の滝は秋の紅葉で有名な観光地ですが、春の桜も知る人ぞ知る名所になっています。飛騨からの古民家移築が今月下旬に完了しますので、またひとつ曾木の滝に魅力が加わり、ご来場者も増えるものと思っています。十曾の山奥にひっそりと咲くのが樹齢600年古木のエドヒガン桜です。エドヒガン桜はふれあいセンター入口にも咲きますのでご鑑賞ください。
伊佐平野の土手や畦畔の枯草を青草が覆いつくしていきます。先月の畦焼きで黒ずんでいたのに、僅かの間に若草が目立つようになりました。太陽と水のお陰で土の中に眠っていた命が、我先にと積極的にアピールしているようにも見えます。先月定植されたタバコ苗の成長はもっと速くて、マルチシートを掛けた畝にぐんぐん伸びていきます。タバコ耕作農家は減少しましたが、経営的には伊佐の中核を担う農家の方々です。子牛セリ値が好調な繁殖(生産)牛農家には若手の経営者が育ちつつあり、稲作や飼料作物と合わせて循環型農業による安全な農畜産物の生産に励んでいます。安全な農作物の基本となるのは土づくりです。今月は多くの農地でトラクターが耕うんしている風景を目にすることでしょう。
日に日に春は明るさを私たちに届けてくれますが、一方では別れの場面に多く出会うことも忘れてはなりません。卒業は新しい世界へのスタートなので喜びの拍手で見送らなければと思いながらも、ご案内をいただくたびに別れの寂しさを禁じえません。2日が公立高校の卒業式ですので、私が大口高校へ、副市長が伊佐農林高校へ出席します。大口高校からは毎年古希70歳になる卒業生に出席の案内状が届きます。今年は私もその一人として案内をいただきましたので同級生と一緒に出席します。卒業後52年になりますが、この機会に帰省してクラスごとに同窓会も予定されているようです。昭和、平成、令和と生きてきた半世紀でした。再会の楽しみや喜びを分かち合いたいと思います。
先月から世界を震撼させている新型コロナウイルスが、日本各地での感染が相ついでいます。卒業式を見直す学校もあるようですが、現段階で伊佐市内の学校は例年どおり卒業式を実施する予定としています。伊佐医師会立准看護学校の卒業式がふれあいセンターにおいて4日、大口中央中学校と菱刈中学校の卒業式が12日です。大口明光学園高等学校の卒業式は3日、中学校は14日です。子ども発達支援センターたんぽぽの卒園式は16日、市内小学校は24日です。
本市でも新型コロナウィルスの感染拡大防止のためいくつかのイベントが中止となっていますが、現段階において実施予定のイベントや催しを紹介します。伊佐のひな祭り・福かざりは先月23日から今月3日まで商店街の展示場で開催されています。20日から来月5日までは桜まつりウィークとして、忠元公園夜桜提灯点灯もなされていますので、ご家族やお友達などご一緒にお楽しみください。曾木の滝の3回目となる野草薬草フェスティバルは20日を予定しています。
音楽会を2つほど紹介します。大口明光学園吹奏楽部スプリングコンサート2020が文化会館で15日。昨年の榎木孝明さんの朗読ステージでピアノ伴奏されたスペイン・アンダルシア在住の西澤安澄さんのピアノ演奏が、25日14時から山野西文化交流館で行われます。桜の開花も気になる3月ですが、8日には大口小学校高台の大口城跡で桜の植樹をする予定にしています。いにしえに思いを馳せながらの植樹となるでしょう。忠元公園千本桜をはじめとして伊佐の最も美しい季節になります。皆さまのご来訪をお待ちしています。
注)新型コロナウィルスの感染拡大防止のためイベントが中止となっています。詳しくは市ホームページをご覧ください。https://www.city.isa.kagoshima.jp/blog/info-prompt/21407/
※更に中止となるイベント等がありますので市ホームページ、もしくはMBCテレビのデータ放送でご確認ください。
雛人形母の古着で作りたる
雛飾り遠き初恋おさげ髪
三つ編みを解いて卒業門を出ず
草青む土に命の雨優し
傘ひとつ肩寄せ歩く花の雨
春柄のネクタイ緩く街に出る -新鶏-
- こんな時には?