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江戸時代の伊佐市が舞台として登場する長編時代小説『空也十番勝負』が完結しました!(5/9)#伊佐の話題

2023年05月31日

江戸時代の伊佐市が舞台として登場する長編時代小説『空也十番勝負』が、令和5年5月9日刊行の「空也十番勝負⑩」をもって完結しました!
- 伊佐市内の作品ゆかりの地「聖地巡礼」ガイド -

 佐伯泰英 『声なき蟬~空也十番勝負 決定版(1)~』(文春文庫、2021年8月刊)
      ※ 表紙画像の使用にあたっては、文藝春秋社の取り決めに従い許諾申請済です。

江戸時代の伊佐市が舞台として登場する長編時代小説『空也十番勝負』が、令和5年5月9日刊行の「奔れ、空也 ~空也十番勝負⑩」をもって完結しました!
 ⇒ 文春特設サイトはこちら(外部リンク)

本作は、テレビドラマ・映画化もされた佐伯泰英(さえき・やすひで)先生の大人気時代小説「居眠り磐根(いねむりいわね)」シリーズの続編です。

初版は2017年の刊行で、2021年8月10日、決定版が刊行されました。

主人公・坂崎空也(さかざき・くうや)は、前シリーズの主人公・坂崎磐音(さかざき・いわね)の息子になります。

本作の第1巻にあたる 『声なき蟬(せみ)~空也十番勝負①』(決定版 上下巻、文春文庫、2021年8月)下巻の主な舞台として、江戸時代の伊佐市が登場します。

空也は剣術修行のため薩摩を目指しますが、瀕死の状態で大隅国菱刈郡(現在の伊佐市)の川内川で薩摩藩前藩主・島津重豪の重臣、渋谷重兼(しぶや・しげかね)と孫娘の眉月(まゆつき)=通称・眉姫に救われます。

実はコロナ禍以前、本作に登場する、伊佐市内の作品ゆかりの地めぐり(いわゆる「聖地巡礼」)で、伊佐市を訪問してくださる読者の方が多くいらっしゃいました。

ここでは、『空也十番勝負』完結にあたり、伊佐市内の作品ゆかりの地をまとめて御紹介します。

※ 本記事は、 2021/08/31付けで伊佐市ホームページで公開した「江戸時代の伊佐市が舞台として登場する時代小説『声なき蟬』決定版が刊行されました!#伊佐たび」を再構成したものです。

※ 以下、作品ゆかりの地を紹介するにあたり作品内容に触れている部分がありますが、必要最小限にとどめ、未読の方にも配慮しております。
未読の方はこの機会にぜひ本作をお読みいただき、「読書で伊佐たび」をお楽しみください!

 

川内川(伊佐市菱刈及び大口)

「私たち、川内川の流れが取り持ってくれたのね。」

『声なき蟬 ~空也十番勝負 決定版(1)~』下巻291ページ

本作のヒロイン・眉姫のセリフです。
伊佐市(作中の大隅国菱刈郡)は、主人公・空也とヒロイン・眉姫の出会いの地として登場します。『声なき蟬』下巻には、随所に川内川(せんだいがわ)の描写が登場します。

下巻冒頭に登場する、川内川とその支流・羽月川(画面の奥)の合流地点(下殿橋付近)

(左が下流で、4キロほど下ると曽木の滝がある)

曽木の滝 (伊佐市大口宮人)

作中に「曾木の瀑布(そぎのばくふ)」として登場。
空也が毎夜独り稽古を行う場所として登場するほか、空也を付け狙う影の集団「外城衆徒(とじょうしゅうと)」との決戦の地にもなります。
現地には、作中に登場する「一本松」も実在します

曽木の滝(作中の「曾木の瀑布」)

空也が独り稽古を行った「曾木の瀑布の岩場」

作中にも登場する曽木の滝の赤松の「一本松」

 飛諏訪神社(伊佐市大口木ノ氏)

作品ゆかりの地めぐりの方から「どこにあるのですか?」とよく質問を受けるのが、作中に登場する「麓飛鎌神社(ふもと・とびかまじんじゃ)」です。

伊佐市大口木ノ氏の飛諏訪神社(とびすわじんじゃ)がモデルと考えられます。

作中、空也と眉姫が一緒に参詣する場面が描かれています。
また、シリーズ第2巻以降、遠く離れ離れの空也と眉姫を繋ぐアイテムとして登場する「飛鎌が家紋のように描かれたお守り」も、この神社のものです。

創建は、島津氏の三州統一の戦いのなか、菱刈郡を所領としていた菱刈氏との戦いのなか島津氏の陣中に飛んできた鎌を祭ったことに由来し、作中で重兼が眉姫に語って聞かせた内容とほぼ同じです。

 ※ 宮司等は常駐していません。また、お守りの販売等もありません。

飛諏訪神社

九七峠(伊佐市大口木ノ氏)

作中でも「九七峠」として登場。十番勝負の初戦「一番勝負」決戦の地となります。
そして、空也が印象的なあのセリフを叫ぶ場所でもあります。

 九七峠(鹿児島県側から熊本方面を望む)

 

「作品ゆかりの地めぐり」の方からのよくある質問

 Q  作中に登場する渋谷重兼のゆかりの場所が伊佐市にありますか?

A 薩摩で空也を助ける渋谷重兼は、作中の描写によると北薩摩を領地とした「渋谷五族」のうちの祁答院渋谷の一族で、「戦国時代以来連綿と菱刈の外城の一つを受け継ぐ一所持(いっしょもち)で、郷の石高は八千石であった。」(決定版下巻13ページ)とあります。

「一所持」とは、藩主である島津本家が支配する直轄領とは別に、世襲的にその土地を支配する私領主の家格を指し、先述のとおり、作中で渋谷家は、菱刈郡麓館周辺の郷の領主を務めています。

ただ史実では、江戸時代の菱刈郡はその大部分が島津本家の直轄領で、渋谷家という一所持の領主が支配していたことはありません。

渋谷重兼は、作中のオリジナルの人物となります。

なお、重兼の由緒である北薩摩を領地とした「渋谷五族」は実在する一族で、特に、その流れを組む入来院家は、現在の薩摩川内市入来周辺を領地とする一所持の名門武家として知られています。

Q 作中に登場する「大隅国菱刈郡麓館」はどこにあったのですか?

A 江戸時代、大隅国菱刈郡は実在しましたが、「麓館」は作中オリジナルの場所になります。

ただ、空也を助ける渋谷重兼と眉姫が住む「大隅国菱刈郡麓館(おおすみこく・ひしかりごおり・ふもとやかた)」の場所については、作中の描写から、川内川とその支流・羽月川の合流地点より上流であることが分かります。

また、作中には「麓館の船着場は、川内川の本流に流れ込む川幅四間(7.2メートル)の支流の一つにあった。」(決定版下巻70ページ)という描写があり、麓館近くに川内川の支流があることが伺えます。

これらのことかから、菱刈郡にあった4つの麓(湯之尾・本城・馬越・曽木)のうち、現在の伊佐市立本城小学校周辺にあった「本城麓」の地頭仮屋(じとうかりや)と呼ばれる江戸時代の行政施設が、「麓館」のモデルではないかと考えられます。

出典:『菱刈町郷土誌 改訂版』 1175ページ

追記

【2021/9/8追記】 江戸時代の伊佐市が舞台として登場する時代小説『声なき蟬』の作者・佐伯泰英先生からサイン本を贈呈いただきました!(伊佐市HP)

文責・問い合わせ先

 伊佐市役所 地域振興課 観光特産PR係

 電話:0995-29-4113   メール:isapr@city.isa.lg.jp

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