実りの秋を迎えました!
2009年10月01日
月は中秋の名月を迎えてまさに秋本番と言うか、秋が深まると表現するほうが文学的にはいいのかもしれません。季語を重んずる俳句の世界では白色とか、色なき風とかで秋を表現しています。”自転車の色なき風の中を駆く”私が若い頃に詠んだ俳句です。昨年の今頃は何をしていたかなぁ、と考えるのも四季の中では秋が多いような気がします。どこか寂しい枯れ往く雰囲気の中に、人生やふるさとへの郷愁があるのかもしれません。春には希望があり、夏は輝きの中、冬を迎えたら春を待つ気持ちが芽生えます。秋は体育祭や文化祭の華やかさや、美味しい果物と出会える楽しさなどがあるにもかかわらず、どこか一抹の寂しさが付きまといます。人恋しくなるのもこのころです。気を紛らそうと読書に耽り、夜が長くなるのも無理ありません。現代の若者は携帯やパソコンのメールで遠距離恋愛をするのかもしれません。誰かと繋がっていないと落ち着かないと聞きます。いずれにしても秋は華やかな反面、自分自身の人生や世の中のことをじっくり考えることができる季節でもあります。
伊佐は自然の環境には恵まれた地域ですので、日々の暮らしの中で四季折々の楽しみ方ができます。その中でも秋10月は彼岸花が終わり、見渡す限り黄金色の田んぼが広がり、やがて一枚また一枚と刈り取りが始まります。日々変わり行くその様はわずか1か月間のことです。惜しいような、収穫を祝うような面白い感覚があります。農家は稲作農家も畜産農家もこの時期に雨が降らないことを願っています。今年は8月から9月末まで夕立すらない、台風も近づかない状態で雨が全くありませんでした。水不足ではありますがこの10月だけは降ってほしくないのです。施設型農業でない限り、農業は自然の影響を受けます。そのような中で新政府は所得補償という政策を進めます。地域によっても農家規模によっても、同じ作物であるにもかかわらずコストにかなりの違いが出ます。どのような基準で私たちに示されるのか不安です。来年作付けの準備が、借りる田の交渉などすでに始めなければいけないのに、政策が不透明なため交渉が滞っています。農業は長期的な計画で考えてもらわなければ困ります。
今後の選挙はマニフェストが中心になりますが、そのたびに泣かされ迷わされるのが農家ではないでしょうか。誰が為政者になっても歴史を振り返れば、農民は苦しめられてきたような気がします。「生かさず、殺さず」であってはならないのです。農林業は国家の基幹産業であり、国土保全の最前線と見るべきです。瑞穂の国と呼ばれたり、俳句の季語に数多く現われる言葉と無縁でない、農業は日本の国そのものだったはずです。公約がマニフェストという横文字になっただけで、法律も地域状況も超えてそれが優先してしまうことを容認する風潮に怖ささえ感じます。お米や麦、大豆など主食として主要な作物は原則的には年に1回の収穫です。米と麦を夏と冬に分けて同一耕作地で作れる例もありますが、施設野菜や工業製品を作るような効率性はありません。人間の営みと四季の移ろいをそのまま反映してるのが農業です。手元の農事暦を見ながら、この1年の我が身を振り返りつつ、朝に起き夜は眠りにつきます。
あまりにも伊佐の黄金色の田んぼが美しいので、このままの農業ができなくなるのではないかという不安から、農業政策についての厳しい私見を申しました。政府が決める政策には市町村は従わなければなりません。しかし、現状を理解してもらうべく、意見は言っていかなければならないと思っています。農に生きる私たちは、きれいごとや割り切った考え方だけでは暮らしは成り立ちません。農林業や地方を理解していただく都会の住民の皆さんに、情報をお届けしながら共存共栄していきたいと思います。先月から始まりました榎木孝明さんの映画「半次郎」の撮影も順調です。今月中旬で終る予定ですが、伊佐のさまざまな場所でおこなわれました。箱崎神社、郡山八幡神社裏、奥十曽、関白陣秀吉の道、鳥神山・竹の瀬戸など映像にどのように編集されるか楽しみです。エキストラやボランティアも地元の方々や生徒さん、縁ある方々がいっぱい協力していただいています。心から御礼申し上げます。
先月の県民体育大会が皆様のご協力により、大成功のうちに終了しました。開会式のすばらしさや運営の手際の良さにお褒めの言葉をたくさんいただきました。周辺自治体の施設や競技役員の皆様のお陰でした。本当にありがとうございました。12地域を持ち回りで行う県体は今回で終わりでしたが、有終の美を飾ることができたと思います。来年からは新しい形でおこなわれますので、さらに競技のレベルアップを図らなければなりません。今月は小学校の体育祭が4日と18日に行われます。市民体育大会も11日に市営グラウンドで行われます。新市になって1回目の記念すべき大会です。それぞれの校区の団結とお互いの交流を深めながら、一体感のある市づくりに役立つものと思います。私も職域対抗リレーで走ろうと思っています。今年は7月の剣道初挑戦、県体での話題づくりとしての水泳参加など、新しい気持ちで1年目を過ごしていますので、今回の市民体育大会も何かに挑戦する前向きな気持ちで望みます。皆さんもスポーツや芸術や食欲の実りあるGood October にしてください。
神無月 忘れるほどの 実りかな
実らせて 神は出雲へ 旅立ちぬ
十五夜に 美しすぎる 少女かな -新-
- こんな時には?